
Bogner Uberschallは、その圧倒的な重低音とハイゲインサウンドで多くのギタリストを魅了してきました。
ドイツ語で「超音速」を意味するその名の通り、アグレッシブな音楽スタイルに完璧にマッチするアンプです。
この記事では、Bogner Uberschallの魅力、そのサウンド、関連機材、そして著名な使用者までを徹底的に掘り下げていきます。
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
Bogner Uberschallの概要
Bogner Uberschallは、2001年にラインホルド・ボグナーによって設計されたハイゲインアンプです。もともとは、LAのギタリストから「もっとゲインと低音が欲しい」という要望に応える形で開発されました。その結果、特にダウンチューニングや多弦ギターを使用するヘヴィロックやニューメタルのジャンルで絶大な支持を得るアンプが誕生しました。
Uberschallは伝統的なクリーンチャンネルと、スーパーハイゲインチャンネルの2チャンネル構成が基本です。クリーンチャンネルはヘッドルームが広く、エフェクターとの相性も抜群です。一方のハイゲインチャンネルは、深く歪ませても音の輪郭を失わないタイトさと、体を揺さぶるほどの重厚な低音が特徴です。そのサウンドは、まさに「超音速」の名にふさわしい、攻撃的かつ緻密なトーンをギタリストに提供します。
Bogner Uberschallにまつわるエピソード
Bognerの創設者ラインホルド・ボグナーは、もともとこのような極端なハイゲインアンプの製作には個人的に興味がありませんでした。彼のルーツは、フェンダーやマーシャルのようなクラシックなアンプの改造にあり、より音楽的なトーンを追求していました。しかし、ある地元のギタリストからの執拗なまでの「もっと邪悪なサウンドを」という要求に根負けする形で開発に着手したのがUberschallの始まりです。
最初は乗り気でなかったプロジェクトですが、完成したアンプのサウンドは彼の想像を超えるものでした。それは単なるハイゲインではなく、Bognerならではの音楽的なニュアンスとレスポンスを兼ね備えていたのです。結果的にUberschallはBognerのラインナップの中でも特に異彩を放つモデルとなり、ヘヴィミュージックシーンにおいて一つのスタンダードを築き上げるまでに至りました。
Bogner Uberschallと一緒に使われる機材
Uberschallのポテンシャルを最大限に引き出すための代表的な組み合わせです。
カテゴリ | モデル名 | 備考 |
キャビネット | Bogner Uberkab 412 | Uberschallのために設計された純正キャビネット。タイトな低音を再生。 |
Mesa/Boogie Rectifier Cabinet | ヘヴィ系での定番の組み合わせ。 | |
コンパクトエフェクター | Ibanez TS9 Tube Screamer | ゲインブースターとして。音を引き締め、よりタイトなサウンドに。 |
Maxon OD808 | TS9と同様、定番のオーバードライブ。 | |
BOSS NS-2 Noise Suppressor | ハイゲイン時のノイズ対策として必須。 |
シリーズ
Uberschallにはいくつかのバリエーションモデルが存在します。
モデル名 | 特徴 |
Uberschall (Rev. Blue / Rev. 2) | 最も標準的なモデル。EL34パワー管を搭載。 |
Uberschall Twin Jet | 2つのゲインチャンネルを持つモデル。KT88パワー管を搭載し、よりパワフル。 |
Uberschall Mk2 | 150ワットの出力を誇る現行モデル。さらに多彩な音作りが可能。 |
Bogner Uberschallのモデリング
近年では高性能なデジタルモデリングアンプやプロファイラーでも、Uberschallのサウンドを体験できます。
Neural DSP Quad Cortexにおけるモデリング
- アンプモデル:Bogna Uber Clean、Bogna Uber Lead
- ベースモデル:Bogner® Uberschall® Rev. Blue
- キャビネット:412 Bogna Uber T75 00s 、412 Bogna Uber V30 00s
FRACTAL AUDIO SYSTEMSにおけるモデリング
- アンプモデル:EURO UBER
- ベースモデル:Bogner Uberschall
- キャビネット:4×12 UBER V30(Bogner Uberkab Celestion Vintage 30搭載モデル)
KEMPER PROFILERにおけるモデリング
※プリインストールには該当なし
LINE6 HELIX seriesにおけるモデリング
- アンプ・モデル:German Ubersonic
- ベースモデル:Bogner® Überschall®
- キャビネット:4×12 German Uber
Bogner Uberschallを使用する著名なアーティスト
海外の著名なアーティスト
アーティスト名 | バンド名 | 使用時期・アルバム |
Adam Jones | Tool | 2006年のアルバム「10,000 Days」のレコーディングで使用したとされています。 |
Jerry Cantrell | Alice in Chains | こちらも「10,000 Days」の時期にDiezelやMarshallとブレンドして使用。 |
Synyster Gates | Avenged Sevenfold | Uberschallのキャビネットを長年愛用。ヘッドも使用していた時期があります。 |
Wes Borland | Limp Bizkit | 彼の多彩なサウンドシステムの一部としてUberschallが組み込まれています。 |
まとめ
Bogner Uberschallは、その誕生の経緯からサウンドキャラクターに至るまで、極めて個性的でパワフルなアンプです。単に歪むだけでなく、ギタリストのピッキングに鋭く反応するレスポンスと、音楽的な深みを両立させています。ヘヴィなサウンドを求めるギタリストにとっては、間違いなく究極の選択肢の一つと言えるでしょう。また、近年では高品質なデジタルモデリングによって、その轟音をより手軽に体験できるようになったのも嬉しいポイントです。ぜひ一度、その「超音速」サウンドに触れてみてください。