Bogner Uberschall(ボグナー・ウーバーシャル)は、ドイツ語で「超音速」を意味する名を冠した2チャンネルの全真空管ハイゲイン・アンプヘッドです。製造するのは、ドイツ・ウルム生まれのReinhold Bogner(ラインホルト・ボグナー)がロサンゼルスで立ち上げたブティックアンプ(少量生産の高品質な手作りアンプのこと)メーカー「Bogner Amplification」。Uberschallはその中でも最高レベルのゲインを誇るフラッグシップ的存在で、ヘヴィメタル・ハードロックはもちろん、ドゥームメタルやプログレッシブロックにも対応できる懐の深さを持っています。Bogner自身が「Armageddon in a box(箱に詰め込んだ終末)」と表現するほど圧倒的なゲインと、同時にそれに見合った音の輪郭の明瞭さを両立している点が、世界中のプレイヤーを虜にする最大の魅力です。
名機サクッと解説
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」 そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
CONTENTS
Bogner Uberschallの主な特徴とスペック
スクロールできます
項目
内容
出力
100W(旧オリジナルモデルは120W)
チャンネル数
2チャンネル(クリーン / ハイゲイン)
プリアンプ管(音を増幅する前段の真空管)
12AX7(プリアンプ用の代表的な真空管)×6本、最大7段のカスケード(直列多段増幅)ゲイン構造
パワーアンプ管(音を最終的に大きく増幅する出力段の真空管)
EL34(英国製アンプに多く使われる真空管。ミッドレンジが豊かで、張りのある倍音が特徴)×4本
EQコントロール
チャンネル独立の3バンドEQ(Bass / Middle / Treble)
グローバルコントロール
Presence(高域の抜け感)、Depth(低域の締まり)、Density(音の密度・飽和感)
Metamorphコントロール
ゲインチャンネルのタイトネス(締め付け感)を調整するBogner独自のコントロール
3ポジション・ボイシングスイッチ
Doom(低域強調)/ Focused(中域寄りのバランス型)/ Bright(高域強調)
エフェクトループ
チューブバッファード・シリアルエフェクトループ搭載
ライン出力
レコーディング用ライン出力あり
付属フットスイッチ
4ボタン・フットスイッチ付属
生産国
アメリカ(ロサンゼルス)
種別
アンプヘッド(スピーカー非内蔵タイプ。別途キャビネットが必要)
Bogner Uberschallに関するエピソード
Reinhold Bognerは、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州のウルム生まれ。幼少期から父親が持っていた真空管ラジオの部品を使い、Angus YoungやGary Mooreに憧れてアンプを自作していました。「自分のアンプが買えなかったから、作るしかなかった」という原体験が、後のBognerサウンドの礎となっています。
1989年、カンザスのギタリストRich Williamsのアドバイスを受け、Bognerはたった600ドルと自身が大幅に改造したJCM800(Marshallの人気モデル)1本を手土産に、ロサンゼルスへ移住します。その改造JCM800はほどなくしてEddie Van Halenの目に留まり、購入されます。これが「アンプ職人Bogner」の名声を一気に高めた出来事でした。その後、Steve Stevens(Billy Idolのギタリスト)、セッション・ミュージシャンのMichael Landau、そしてAlice in Chainsのデビューアルバム『Facelift』(1990年)でのJerry Cantrellのトーンにも、Bognerが手掛けた改造アンプが貢献しています。
こうした実績を重ねたBognerが生み出した究極のハイゲイン設計が、Uberschallです。Bogner自身が「Armageddon in a box」と呼ぶこのアンプは、単純に歪みを増やすのではなく、多段カスケードのゲイン構造によって「圧縮されながらも呼吸する」独特のサウンドを実現しています。Mark Tremonti(Alter Bridge / Creed)は、このUberschallをMesa/Boogie Triple Rectifierと組み合わせた2アンプ構成でライブ・レコーディングに使用し、Alter BridgeのアルバムやCreedでの骨太なリフサウンドを作り上げました。また、Jim Root(Slipknot / Stone Sour)は2010年前後のStone Sourのスタジオ作業でUberschallを採用したことが、インタビューで確認されています。