Bogner Shiva(ボグナー・シヴァ)は、アメリカのハンドメイド高級アンプメーカー「Bogner Amplification(ボグナー・アンプリフィケーション)」が製造する、ブティックアンプ(少量生産の高品質な手作りアンプのこと)の中でも特に人気の高いモデルです。その名前はヒンドゥー教の神「シヴァ」に由来しており、多腕の神のように「何でもこなせる多才さ」をコンセプトに設計されています。クリーンな煌めくサウンドから、ブルース、ロック、そしてヘヴィなハイゲインまで幅広いジャンルに対応できる懐の深さが最大の魅力です。「1台でクリーンもドライブも完璧にこなせるアンプが欲しい」というギタリストの夢に応えた、まさに理想的な一台と言えるでしょう。
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
Bogner Shivaの主な特徴とスペック
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 出力 | 60W(6L6版)/80W(EL34版) | ワット数が大きいほど音量が出るが、音質の傾向も変わる |
| パワー管 | 6L6 または EL34(バージョンによる) | 6L6はアメリカ的な暖かくタイトな音、EL34(真空管の種類のひとつで、British製アンプに多く使われ、中域が豊かな音色が特徴)はイギリス的な攻撃的でクランチなサウンド |
| プリ管 | 12AX7 × 6 | プリアンプ段(音色を作る部分)に使われる真空管 |
| チャンネル数 | 2チャンネル(クリーン・リード) | フットスイッチで切り替え可能 |
| リバーブ | チューブ・ドリブン・リバーブ | 真空管で駆動する自然な残響感が特徴 |
| エフェクツループ | 搭載 | 空間系エフェクターを接続するための入出力端子 |
| 形態 | ヘッドアンプ または 1×12コンボ | コンボはCelestion Vintage 80スピーカー内蔵 |
| 生産国 | アメリカ(ハンドワイヤード) | 一本一本手作業で配線される高品質な作り |
| 定価目安 | 約2,876ドル(実勢価格は変動あり) | プロ仕様のブティックアンプとして高品質な作りを反映 |
Bogner Shivaに関するエピソード
Bogner Shivaは1990年代後半にReinhold Bogner(ラインホルド・ボグナー)によって設計されました。ボグナー氏はドイツ出身で、若い頃にアメリカに渡り、Eddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)のアンプ改造技術者としてキャリアをスタートさせたという伝説的なエピソードを持ちます。その後、ロサンゼルスで自身のアンプブランドを立ち上げ、Shivaは「万能アンプ」というコンセプトのもとに生まれました。
有名なエピソードとして、Alice in Chains(アリス・イン・チェインズ)のギタリスト、Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル)がソロアルバム「Degradation Trip」(2002年)でBogner Shivaを使用しました。彼のヘヴィでグランジ的なサウンドをさらに磨き上げた、うねるような歪みと抜けの良さは、Shivaの懐の深さを証明するものでした。
また、Creed/Alter Bridge(クリード/オルター・ブリッジ)のギタリストMark Tremonti(マーク・トレモンティ)は、ソロアルバム「All I Was」(2012年)のレコーディングにおいて、Bogner Shiva(通常版と20thアニバーサリーKT88モデルの2台)を使用しました。彼の力強いリフと哀愁漂うリードは、Shivaの持つ豊かなミッドレンジと艶のある歪みが存分に発揮された好例です。
Bogner Shivaと共に使用される機材
| 機材カテゴリ | 代表的な機材 | 組み合わせる理由 |
|---|---|---|
| キャビネット(コンボ版以外) | Bogner Ubercab 4×12(Celestion Vintage 30またはT75搭載) | 同メーカーのキャビネットで音の相性が良く、Shivaのサウンドキャラクターを最大限に引き出せる |
| キャビネット(定番) | Marshall 1960A(Celestion G12T-75搭載) | 入手しやすく、タイトなロック系サウンドと相性が良い |
| オーバードライブ | Tube Screamer(チューブスクリーマー)系 | クリーンチャンネルを軽くドライブさせることで、Shivaらしい「ブラウンサウンド(ヴァン・ヘイレン的な甘い歪みのこと)」が得られる |
| ディレイ | Strymon Timeline / TC Electronic Nova Delay | エフェクツループに挿すことでアンプの歪みに干渉せず自然なディレイ感が得られる |
| チューブバッファー | Bogner Harlow(ブースター) | 同メーカーのブースターで音の立ち上がりとダイナミクスを整えやすい |
Bogner Shivaの兄弟機・派生機
| モデル名 | 主な違い | どんな人向けか |
|---|---|---|
| Bogner Shiva 20th Anniversary(KT88) | パワー管をKT88(大型で太いロー・ミッドが特徴の真空管)に変更。よりタイトかつパワフルな音圧感 | よりモダンでヘヴィなサウンドを求めるプレイヤー |
| Bogner Shiva 20th Anniversary(EL34) | 20thアニバーサリーボディにEL34を搭載。オリジナルShivaよりブリティッシュ寄りの音色 | クランチからブルースロックが好みのプレイヤー |
| Bogner Ecstasy | Shivaより多チャンネル構成でさらに多彩なゲイン幅。より「ブティックハイゲイン」寄り | 多様なジャンルをカバーしたいプレイヤー |
| Bogner Überschall(ユーバーシャル) | Shivaより強烈なハイゲインに特化。金属的なリフに最適 | メタル・ヘヴィロック系プレイヤー |
Bogner Shivaのモデリング
モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。高価なブティックアンプをライブやレコーディングで気軽に試せるのが最大のメリットです。
Bogner SHivaのQUAD CORTEXにおけるモデリング
| 種別 | モデル名(QUAD CORTEX上の名称) | ベースとなった実機 |
|---|---|---|
| アンプ | Bogna Vishnu 20th Clean | Bogner® Shiva® 20th Anniversary |
Bogner SHivaのFractal Audio Systemsにおけるモデリング
| 種別 | モデル名(Axe-FX上の名称) | ベースとなった実機 |
|---|---|---|
| アンプ | Shiver | Bogner Shiva 20th Anniversary(KT88) |
※ Axe-FX上では真空管の種類(6L6 / EL34 / KT88)を切り替えることで、各バージョンのShivaに近いサウンドを再現することも可能です。
Bogner SHivaのKemperにおけるモデリング
Kemperの公式ファクトリーリグページは現在確認できない状態のため、具体的なリグ名の記載を省略します。ただしKemperの公式プロファイルおよびKemper Rig Exchangeには、Bogner Shivaをプロファイリングしたリグが複数公開されています。Kemperをお持ちの方はRig Exchange上で「Shiva」または「Bogner Shiva」と検索することで見つけられます。
Bogner SHivaのLINE6 HELIXにおけるモデリング
| 種別 | モデル名(HELIX上の名称) | ベースとなった実機 |
|---|---|---|
| アンプ | Bogner® Shiva | Bogner Shiva |
| キャビネット | 1×12″ Bogner Shiva CL80 | Bogner Shiva付属1×12キャビネット(Celestion CL80搭載) |
Bogner Shivaの使用アーティスト
海外のアーティスト
| アーティスト名 | 音楽スタイル | 使用時期・関連作品 |
|---|---|---|
| Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル) | グランジ/オルタナティブメタル(Alice in Chains)。ヘヴィかつメランコリックなリフが持ち味 | 2002年頃 / ソロアルバム「Degradation Trip」 |
| Mark Tremonti(マーク・トレモンティ) | ハードロック/メタル(Creed、Alter Bridge)。パワーコードとリードプレイを融合したスタイル | 2012年頃 / ソロアルバム「All I Was」(Shiva通常版+20th KT88の2台使用) |
日本のアーティスト
現時点では日本のアーティストによるBogner Shivaの公式・著名な使用事例の確認が取れませんでした。ただしBognerアンプ全般は日本のプロギタリストにも愛用者が多く、今後情報が判明した際に追記予定です。
Bogner Shivaのメリット・デメリット
- 【メリット】クリーンからハイゲインまで1台で対応できる
2チャンネル構成で、フェンダー的なクリーン〜マーシャル的なクランチ〜本格的なハイゲインまで一台でカバー可能。複数のアンプを持ち込む必要がない。 - 【メリット】チューブ・リバーブが非常に美しい
デジタルではなく真空管で駆動するリバーブは自然でアナログ的な質感があり、空間系エフェクターなしでも豊かなサウンドが得られる。 - 【メリット】バンドアンサンブルの中でよく抜ける
ミッドレンジ(中音域)が豊かで適切にEQすることでドラムやベースに埋もれることなく音が前に出てくる。ライブやスタジオ録音での実用性が高い。 - 【メリット】ハンドワイヤードによる職人的な品質
一本一本手作業で配線されるため、量産品にはない安定感と音の密度感がある。長く使い続けられる耐久性も魅力。 - 【デメリット】価格が非常に高い
ブティックアンプのため定価が30万円前後以上になることが多く、気軽に試せる価格帯ではない。現在は生産完了品のため中古市場での入手になる場合が多い。 - 【デメリット】コンボ版は非常に重い
1×12コンボモデルは約32kg前後と重く、一人での搬入・搬出が大変。ライブで毎回持ち運ぶには体力的な負担がある。 - 【デメリット】小音量時のサウンドは別物になる
真空管アンプの宿命として、本来の音を引き出すにはある程度の音量が必要。自宅や小さなスタジオでは本領を発揮しにくい場合がある。
まとめ
Bogner Shivaは、「1台でなんでもこなしたい」というギタリストの理想に最も近いアンプのひとつです。繊細なフィンガーピッキングにも応える透明感のあるクリーンサウンドから、ロックのリフに映えるクランチ、そしてメタルにも対応できるハイゲインまで、幅広い表現が可能です。
- 「Marshall以外のアンプも試してみたい」という方
- 「クリーンとドライブの両方に妥協したくない」という方
- 「本物のブティックアンプの音を体験してみたい」という方
…そんな方には、ぜひ一度試していただきたい一台です。現在は生産完了品のため、楽器店やフリマアプリなどの中古市場を活用してみてください。また、LINE6 HELIXやFractal Audio Axe-FXなどのモデリング機器でShivaの音を体験してから実機を探すというアプローチもおすすめです。名前の由来通り、あらゆる音楽スタイルを「シヴァの如く」支配できる可能性を秘めたアンプです。
