Bogner Shiva|ギター用アンプの名機を解説

Bogner Shiva アンプ

Bogner Shivaは、2チャンネル構成でクリーンからハイゲインまでこなせる、ブティックアンプのヘッドアンプ(1×12コンボもあり)です。1990年代後半に設計され、現在は生産完了品です。

Bogner Shiva(ボグナー・シヴァ)は、アメリカのハンドメイド高級アンプメーカー「Bogner Amplification(ボグナー・アンプリフィケーション)」が製造する、ブティックアンプ(少量生産の高品質な手作りアンプのこと)の中でも特に人気の高いモデルです。その名前はヒンドゥー教の神「シヴァ」に由来しており、多腕の神のように「何でもこなせる多才さ」をコンセプトに設計されています。クリーンな煌めくサウンドから、ブルース、ロック、そしてヘヴィなハイゲインまで幅広いジャンルに対応できる懐の深さが最大の魅力です。「1台でクリーンもドライブも完璧にこなせるアンプが欲しい」というギタリストの夢に応えた、まさに理想的な一台と言えるでしょう。

名機サクッと解説

「名前は知ってるけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。

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主な特徴とスペック

スペック面の要点は、パワー管を6L6とEL34から選べる2チャンネル構成と、エフェクツループ・チューブ・ドリブン・リバーブを備えた本格的な装備です。

スクロールできます
出力60W(6L6版)/80W(EL34版)
パワー管6L6 または EL34(バージョンによる)
プリ管12AX7 × 6
チャンネル数2チャンネル(クリーン・リード)
リバーブチューブ・ドリブン・リバーブ
エフェクツループ搭載
形態ヘッドアンプ または 1×12コンボ
生産国アメリカ(ハンドワイヤード)
定価目安約2,876ドル(実勢価格は変動あり)

出力は6L6版が60W、EL34版が80Wです。ワット数が大きいほど音量が出ますが、音質の傾向も変わります。

パワー管の6L6はアメリカ的な暖かくタイトな音で、EL34(真空管の種類のひとつで、British製アンプに多く使われ、中域が豊かな音色が特徴)はイギリス的な攻撃的でクランチなサウンドです。プリ管の12AX7 × 6は、プリアンプ段(音色を作る部分)に使われる真空管です。

チャンネルはクリーンとリードの2つで、フットスイッチで切り替えられます。リバーブは真空管で駆動するため、自然な残響感が特徴です。エフェクツループは、空間系エフェクターを接続するための入出力端子です。

形態はヘッドアンプ、またはCelestion Vintage 80スピーカーを内蔵した1×12コンボです。一本一本手作業で配線される高品質な作りで、定価はプロ仕様のブティックアンプとして高品質な作りを反映した価格帯です。

エピソード

Bogner Shivaは1990年代後半にReinhold Bogner(ラインホルド・ボグナー)によって設計されました。ボグナー氏はドイツ出身で、若い頃にアメリカに渡り、Eddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)のアンプ改造技術者としてキャリアをスタートさせたという伝説的なエピソードを持ちます。その後、ロサンゼルスで自身のアンプブランドを立ち上げ、Shivaは「万能アンプ」というコンセプトのもとに生まれました。

有名なエピソードとして、Alice in Chains(アリス・イン・チェインズ)のギタリスト、Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル)がソロアルバム「Degradation Trip」(2002年)でBogner Shivaを使用しました。彼のヘヴィでグランジ的なサウンドをさらに磨き上げた、うねるような歪みと抜けの良さは、Shivaの懐の深さを証明するものでした。

また、Creed/Alter Bridge(クリード/オルター・ブリッジ)のギタリストMark Tremonti(マーク・トレモンティ)は、ソロアルバム「All I Was」(2012年)のレコーディングにおいて、Bogner Shiva(通常版と20thアニバーサリーKT88モデルの2台)を使用しました。彼の力強いリフと哀愁漂うリードは、Shivaの持つ豊かなミッドレンジと艶のある歪みが存分に発揮された好例です。

共に使用される機材

共に使用されるキャビネット

  • Bogner Ubercab 4×12:Celestion Vintage 30 または Celestion T75搭載で、同メーカーのキャビネットで音の相性が良く、Shivaのサウンドキャラクターを最大限に引き出せます。
  • Marshall 1960A:Celestion G12T-75搭載で、入手しやすく、タイトなロック系サウンドと相性が良い定番キャビネットです。

共に使用されるエフェクター

  • Ibanez Tube Screamer(チューブスクリーマー)系:オーバードライブとして、クリーンチャンネルを軽くドライブさせることで、Shivaらしい「ブラウンサウンド(ヴァン・ヘイレン的な甘い歪みのこと)」が得られます。
  • Strymon Timeline / TC Electronic Nova Delay:ディレイとして、エフェクツループに挿すことでアンプの歪みに干渉せず自然なディレイ感が得られます。
  • Bogner Harlow:ブースターとして、同メーカーのブースターで音の立ち上がりとダイナミクスを整えやすくなります。

兄弟機・派生機

Bogner Shiva 20th Anniversary(KT88)

パワー管をKT88(大型で太いロー・ミッドが特徴の真空管)に変更したモデルです。よりタイトかつパワフルな音圧感があり、よりモダンでヘヴィなサウンドを求めるプレイヤー向けです。

Bogner Shiva 20th Anniversary(EL34)

20thアニバーサリーボディにEL34を搭載したモデルです。オリジナルShivaよりブリティッシュ寄りの音色で、クランチからブルースロックが好みのプレイヤー向けです。

Bogner Ecstasy

Shivaより多チャンネル構成でさらに多彩なゲイン幅を持ち、より「ブティックハイゲイン」寄りのモデルです。多様なジャンルをカバーしたいプレイヤー向けです。

Bogner Überschall

Shivaより強烈なハイゲインに特化したモデルで、金属的なリフに最適です。メタル・ヘヴィロック系プレイヤー向けです。

モデリング

モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。高価なブティックアンプをライブやレコーディングで気軽に試せるのが最大のメリットです。

Bogner SHivaのQUAD CORTEXにおけるモデリング

QUAD CORTEXでの対応は次のとおりです。各項目は、QUAD CORTEX上の名称から見て、ベースとなった実機を示しています。

  • Bogna Vishnu 20th Clean(アンプ):Bogner® Shiva® 20th Anniversaryがベースです。
  • 412 Bogna Uber T75 00s(キャビネット):Bogner® Ubercab® with Celestion® T75 driversがベースです。
  • 412 Bogna Uber V30 00s(キャビネット):Bogner® Ubercab® with Celestion® Vintage 30 driversがベースです。

Bogner SHivaのFractal Audio Systemsにおけるモデリング

Axe-FXでの対応は次のとおりです。各項目は、Axe-FX上の名称から見て、ベースとなった実機を示しています。

  • Shiver(アンプ):Bogner Shiva 20th Anniversary(KT88)がベースです。
  • 1×12 SHIVER 121 (bg)(キャビネット):Bogner Shiva 1×12 dual ported cab(Celestion Classic Lead 80 / Royer 121マイク)がベースです。
  • 4×12 GERMAN BOUTIQUE(キャビネット):Bogner Ubercab 4×12(Celestion Vintage 30×4搭載)がベースです。

※ Axe-FX上では真空管の種類(6L6 / EL34 / KT88)を切り替えることで、各バージョンのShivaに近いサウンドを再現することも可能です。

Bogner SHivaのKemperにおけるモデリング

Kemperの公式ファクトリーリグにはBogner Shivaの収録はありません。ただしKemper Rig Exchangeにはユーザーがプロファイリングしたリグが複数公開されています。Kemperをお持ちの方はRig Exchange上で「Shiva」または「Bogner Shiva」と検索することで見つけられます。

Bogner SHivaのLINE6 HELIXにおけるモデリング

HELIXでの対応は次のとおりです。各項目は、HELIX上の名称から見て、ベースとなった実機を示しています。

  • German Mahadeva(アンプ):Bogner® Shivaがベースです。
  • 1×12″ Bogner Shiva CL80(キャビネット):Bogner Shiva付属1×12キャビネット(Celestion CL80搭載)がベースです。

使用アーティスト

海外のアーティスト

  • Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル)/グランジ、オルタナティブメタル(Alice in Chains):ヘヴィかつメランコリックなリフが持ち味で、2002年頃のソロアルバム「Degradation Trip」で使用しました。
  • Mark Tremonti(マーク・トレモンティ)/ハードロック、メタル(Creed、Alter Bridge):パワーコードとリードプレイを融合したスタイルで、2012年頃のソロアルバム「All I Was」でShiva通常版と20th KT88の2台を使用しました。

日本のアーティスト

現時点では日本のアーティストによるBogner Shivaの公式・著名な使用事例の確認が取れませんでした。ただしBognerアンプ全般は日本のプロギタリストにも愛用者が多く、今後情報が判明した際に追記予定です。

よくある疑問

Bogner Shivaの20th Anniversaryモデルは何が違いますか?

パワー管とサウンドの傾向が違います。KT88版はよりタイトでパワフルな音圧感があり、モダンでヘヴィな音を求める人向けです。EL34版はオリジナルよりブリティッシュ寄りの音色で、クランチからブルースロックに向きます。

QUAD CORTEXでBogner Shivaの音は使えますか?

近い音は使えます。QUAD CORTEXにはBogner Shiva 20th Anniversaryをベースにしたアンプ「Bogna Vishnu 20th Clean」があり、Ubercabベースのキャビネットも2種類収録されています。Kemperには公式ファクトリーリグの収録がなく、Rig Exchangeのユーザー作成リグを探すことになります。

ユーザーの評価と注意点

評価されている点

  • マスターボリュームの完成度が異様に高い
    「80Wの大出力アンプが小音量でまともに鳴るはずがない」という常識を覆すと複数のユーザーが証言しています。自宅やアパートレベルの音量でも本来のキャラクターが失われないと評判で、これはShivaが特に評価される点のひとつです。
  • バンドの中で自然に「座る」サウンド
    Marshallがバンドアンサンブルの中で存在感を主張しすぎることがあるのに対し、Shivaは「どんな編成の中でも自然にフィットする」とフォーラムで繰り返し言及されています。ドラムやベースを押しつぶさない、絶妙なミッドのバランスが理由とされています。
  • 滑らかで上品な歪みは唯一無二のキャラクター
    MarshallのようなギスギスしたグリットはなくSmooth・Butteryと表現されることが多く、「Marshallに飽きた人が行き着くアンプ」という声もあります。好みが分かれる点でもありますが、この独特の歪み質感こそがShivaファンを熱狂させる核心です。
  • ほぼセッティング不要で即座に良い音が出る
    「plug and play(挿してすぐ使える)」という表現が複数のユーザーから上がっており、細かいEQ調整なしでも自然にまとまった音が出る設計のよさが評価されています。スタジオでもV30キャビとマイクを立てるだけで録れる、という意見もあります。

注意点

  • メタルには向かない
    「ハードロックまでならOKだが、メタルは無理」という意見がフォーラムで一致しています。歪みの質が滑らかすぎてザクザクしたリフには不向きで、メタル用途にはブーストペダルとの組み合わせが前提になります。
  • 歪みの質感が「好きか嫌いか」で完全に分かれる
    Marshallのようなギスギス感・生々しさを求めるプレイヤーには物足りないと感じることが多く、「試さずに買うと後悔する可能性がある」とユーザーが警告しています。購入前に必ず試奏することが強く推奨されるアンプです。
  • 旧モデルのエフェクトループは使いにくい
    初期モデルのエフェクトループは専用の抵抗入りケーブルが必要で、通常のケーブルでは音量が下がるという問題が指摘されています。20thアニバーサリー以降で改善されましたが、中古で旧モデルを購入する場合は注意が必要です。
  • キャビネットの相性が音に大きく影響する
    「Marshallキャビでは全然Shivaらしくならなかった」という声があり、スピーカーの選択でサウンドキャラクターが大きく変わる傾向があります。Bogner純正キャビまたはCelestion V30搭載キャビとの組み合わせが特に推奨されています。

まとめ

Bogner Shivaは、「1台でなんでもこなしたい」というギタリストの理想に最も近いアンプのひとつです。繊細なフィンガーピッキングにも応える透明感のあるクリーンサウンドから、ロックのリフに映えるクランチ、そしてメタルにも対応できるハイゲインまで、幅広い表現が可能です。

  • 「Marshall以外のアンプも試してみたい」という方
  • 「クリーンとドライブの両方に妥協したくない」という方
  • 「本物のブティックアンプの音を体験してみたい」という方

…そんな方には、ぜひ一度試していただきたい一台です。現在は生産完了品のため、楽器店やフリマアプリなどの中古市場を活用してみてください。また、LINE6 HELIXやFractal Audio Axe-FXなどのモデリング機器でShivaの音を体験してから実機を探すというアプローチもおすすめです。名前の由来通り、あらゆる音楽スタイルを「シヴァの如く」支配できる可能性を秘めたアンプです。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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