
Diezel Herbert(ディーゼル ハーバート)は、2002年にNAMMショーで初公開された、3チャンネル設計・180Wの真空管ヘッドアンプです。Diezel VH4より親しみやすくルーズ感がありながら、Diezelらしいタイトなサウンドを備えています。
VH4(ブイエイチフォー)で世界中のプロギタリストを虜にしたDiezelが、「より弾き手に寄り添うアンプ」として生み出したのがDiezel Herbert(ディーゼル ハーバート)です。2002年にNAMMショーで初公開されたこの180Wヘッドアンプは、3チャンネル設計でクリーンからハイゲインまでをカバーしながら、「VH4より親しみやすくルーズ感があり、Diezelらしいタイトなサウンドはそのまま」というキャラクターを持ちます。SlipknotのJim RootやGojiraのJoe Duplantierら現代ヘヴィミュージックの最前線に立つアーティストたちが愛用し、日本では横山健(Hi-STANDARD / Ken Yokoyama)が長年のメインアンプとして使い込んでいることでも知られています。「スタジオに1台置いてあれば大抵の仕事は片づく」とまで言われる懐の深さが、Herbertを語るうえで最も核心に触れる一言かもしれません。
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
主な特徴とスペック
スペック面の要点は、180Wの出力とKT77×6本のパワー部、そして3チャンネル構成にMid-Cutと2系統のマスターボリュームを備えた操作系です。
| 出力 | 180W |
|---|---|
| チャンネル数 | 3(Clean / Crunch+Heavy / Lead) |
| パワー管 | KT77×6本(MKIIIはEL34) |
| プリ管 | 12AX7 |
| Channel 2 | デュアルボイシング・トグルスイッチ搭載 |
| Mid-Cut | 全チャンネルにアサイン可能 |
| エフェクトループ | シリアル/パラレル/インサートの3系統 |
| マスターボリューム | 独立2系統(フットスイッチ切替) |
| EQ | チャンネル別5ノブ+共通のPresence / Deep |
| MIDI | MIDI In / Thru対応 |
| 重量 | 約25.4kg(56 lbs) |
| 発売年 | 2002年(NAMMでプロトタイプ公開) |
| 製造国 | ドイツ(バート・シュテーベン) |
パワー管のKT77はビーム四極管(真空管の種類のひとつ)で、EL34と互換性があり、EL34のミッドレンジの豊かさと6L6の明瞭さを兼ね備えたサウンドが特徴です。プリ管の12AX7は信号を増幅し、音色を形成する部分に使われます。EQはチャンネルごとにGain / Bass / Middle / Treble / Volumeを備え、全体にPresenceとDeepが加わります。
Channel 2のトグルスイッチは、「−」モードがヴィンテージクリーンからブロードクランチ、「+」モードが同じ音域でよりハイゲインなサウンドを出力します。Mid-CutはIntensity / Volumeの2ノブで構成される独立したコントロールです。
Channel 1はVH4同様「Diezelスパークル」と形容される透明感の高いクリーントーンを出力します。Channel 2は「3.5チャンネル相当」とも評されるほどトグルスイッチによる音色幅の広さが魅力で、「−」モードではMarshall Plexiに近い音域、「+」モードではJCM800ライクなアグレッシブなクランチを得られます。Channel 3は純然たるリードチャンネルで、VH4のMegaチャンネルに通じる締まりのある高ゲインサウンドを担います。VH4との最大の違いは「少し遊びがあり、よりプレイヤーの指先に素直に反応する感覚」と語られており、よりオーガニックでリアクティブな弾き心地が特徴です。
エピソード
Herbertのプロトタイプが初めて公開されたのは2002年のNAMMショー(米国アナハイムで毎年開催される世界最大規模の楽器見本市)です。ファンの間では「フロントグリルに斜めのスリットと三角形のデザインが入った独特の外観」が話題を呼びました。その後、量産モデルへの移行にあたり外観デザインは変更されましたが、コアとなる設計思想——「VH4の遺伝子を持ちながら、より幅広いジャンルのギタリストが使いやすいアンプ」というコンセプト——は初代から変わっていません。Diezelによる説明では、HerbertはVH4より「馴染みやすく、ほんの少しルーズな感覚があり、それでいてDiezelらしい定義感とタイトさを失っていない」と位置づけられています。つまり「Diezelに初めて触れるなら、まずHerbertから」というエントリーポイントとしての役割も担っています。
2018年には横山健との連携をもとに「Herbert Pedal」がリリースされました。これはHerbertのプリアンプ回路を完全アナログで再現した小型ペダルで、クリーンアンプの前段に置いてスタンドアロンのプリアンプとしても使用できます。横山健の「最小限の機材で最大限の音を出す」という哲学が、このペダルの開発思想とも合致したことが背景にあると言われています。Herbertというアンプが特定アーティストと深く結びついた製品を生み出した珍しい例として、コミュニティでよく語られるエピソードです。
Jim Root(Slipknot)は2008年のアルバム『All Hope Is Gone』のレコーディングにあたり、Guitar Worldのインタビューで「Orange Rockerverb 100と、Little Labs PCP Instrument Distro boxを使ってDiezel Herbertをブレンドした」と明言しています。Slipknotのあの分厚く隙間のない音の壁は、2台の異なるキャラクターのアンプが1本のギター信号を分配して作り出したものでした。
共に使用される機材
共に使用されるキャビネット
- Diezel 412RV(4×12インチ リアロード型):搭載スピーカーはCelestion Vintage 30です。Herbertとのメーカー純正ペアとして最も広く認知されている組み合わせで、リアロード(背面開口)構造がミッドレンジを豊かに押し出し、Channel 2・3の押し出しの強さを最大限に引き出すとフォーラムで繰り返し言及されています。
- Diezel 412F(4×12インチ フロントロード型):搭載スピーカーはCelestion G12K-100です。よりタイトでブライトな印象で、Channel 1のクリーントーンとの相性が高く評価されており、スタジオ録音でレンジの広いサウンドを求めるエンジニアが選ぶことが多いキャビネットです。
- Marshall 1960A/B:搭載スピーカーはCelestion Vintage 30 / G12T-75です。Diezel純正キャビの代替として最も頻繁に挙げられる選択肢で、British系の鳴りがHerbertのGerman的なタイトさと対比的に融合し、独特の奥行き感が生まれます。横山健もこの組み合わせを活用していることで知られています。
- Mesa/Boogie Rectifier 4×12:搭載スピーカーはCelestion Vintage 30です。ヘヴィロック・メタル系プレイヤーがHerbertに組み合わせる定番候補のひとつで、Rectifierキャビの重低音がHerbertの締まったローエンドと融合し、ダウンチューニング時の音の密度をさらに高めるとされています。
共に使用されるエフェクター
- Ibanez TS9 / TS808(チューブスクリーマー系オーバードライブ):ゲインブーストとローエンド整理の役割です。Channel 3前段にトーンをやや絞って置くと、低域をタイトに整えつつゲイン感を増幅できる定番テクニックで、ヘヴィメタル系ギタリストがHerbertと組み合わせる際に最も頻繁に言及されるペダルです。
- Boss NS-2 / ISP Decimator(ノイズゲート全般):ノイズ除去の役割です。Herbertはハイゲインアンプとしてはノイズが少ない部類ですが、Channel 3をフルゲインで使う際や多弦ギター(7弦・8弦)との組み合わせでは対策が推奨されます。エフェクトループへの挿入でチャンネルごとに管理するのがプロの定番手法です。
- Ernie Ball ボリュームペダル:音量コントロールとスウェル奏法の役割です。Equipboardの使用データでHerbertと最も多く組み合わせられる機材のひとつで、Herbertのダイナミックレンジの広さを活かし、リアルタイムに音量を調整するスタイルを多くのスタジオプレイヤーが採用しています。
- Delay(BOSS DD系・アナログテープエコー等):空間演出と厚み付けの役割です。Herbertのパラレルループまたは後段のグローバルループに接続するのが標準的な使い方で、乾いた音の解像度が高いため、短めのディレイで奥行きを補うと録音物としての完成度が上がるとスタジオエンジニアからも評価されています。
兄弟機・派生機
Diezel VH4
VH4(ブイエイチフォー)はDiezelの旗艦フラッグシップで、4チャンネル・100W・KT77×4本のアンプです。Herbertより1チャンネル多く、よりコンパクトなサイズながら各チャンネルが独立インサートループを装備するなど、機能面では上位にあたります。サウンドはよりタイトでコンプレッションが強めです。チャンネルを細かく使い分けたい人や、よりタイトで彫刻的なハイゲインが欲しい人に向いています。
Diezel Herbert KT77 MKII
Herbert KT77 MKII(ハーバート ケーティーセブンティセブン エムケーツー)は、トランスフォーマーを刷新してクリーンチャンネルのヘッドルームを増やしたモデルです。KT77を搭載したまま、全体的にタイトさと解像度が向上しています。「初代Herbertは暗くてムーディすぎる」と感じるユーザーが選ぶことが多く、初代のフィーリングは好きだが、よりモダンでタイトな音を求める人に向いています。
Diezel Herbert MKIII
Herbert MKIII(ハーバート エムケースリー)は、パワー管をEL34に変更し、7弦・8弦などのエクステンデッドレンジギター(多弦ギター)やダウンチューニング(通常より低く合わせたチューニング)に最適化して再設計されたモデルです。「よりタイトで、録音時にミックスの中で埋もれにくい」と評価されています。7弦・8弦ギターや大幅なダウンチューニングを多用するモダンメタルプレイヤーに向いています。
Diezel Herbert Pedal(2018年)
Herbert Pedal(ハーバート ペダル)は、Herbertのプリアンプ回路を完全アナログで再現したコンパクトペダルです。横山健との連携のもと2018年にリリースされ、クリーンアンプの前段に置いてスタンドアロンのプリアンプとしても使用できます。Herbertのサウンドを手軽に、コンパクトなリグで使いたい人に向いています。
モデリング
モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。以下では主要なモデリング機器におけるDiezel Herbertの収録状況を紹介します。
QUAD CORTEX における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | D-Cell Hisbert Ch1 | Diezel Herbert(Channel 1 / Clean) |
| Amp | D-Cell Hisbert Ch2 | Diezel Herbert(Channel 2 / Crunch+Heavy) |
| Amp | D-Cell Hisbert Ch3 | Diezel Herbert(Channel 3 / Lead) |
| Cabinet | 412 D-Cell Front V30 ’04 | Diezel 4×12フロントロード(V30搭載) |
Diezel Herbert専用のキャビネットモデルはQUAD CORTEXに収録されていないため、Diezel製品に対応する唯一のキャビネットである「412 D-Cell Front V30 ’04」を掲載しています。このキャビネットはDiezelフロントロード 4×12の実機を元にしており、HerbertユーザーからもコミュニティでHerbertとの組み合わせとして推奨されています。
Fractal Audio Systems における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | HERBIE CH2- | Diezel Herbert(Channel 2 / −モード) |
| Amp | HERBIE CH2+ | Diezel Herbert(Channel 2 / +モード) |
| Amp | HERBIE CH3 | Diezel Herbert(Channel 3 / Lead) |
| Amp | HERBIE MK3 | Diezel Herbert MKIII(Channel 2+ベース) |
| Cabinet | 4×12 Dizzy V30 57 A1 ML | Diezel 4×12フロント(V30搭載) |
| Cabinet | 4×12 Dizzy K100 57 B1 ML | Diezel 4×12フロント(G12K-100搭載) |
Fractal AudioはHerbertのChannel 1(クリーン)をモデル化せず、Channel 2と3に特化しています。HERBIE CH2-はヴィンテージクランチ寄りの−モード、HERBIE CH2+はハイゲインクランチ寄りの+モードで、HERBIE MK3はChannel 2+をベースにMKIII版として再モデリングしたものです。キャビネットはいずれもCelestion搭載のDiezel 4×12フロントロードが元で、Vintage 30とG12K-100の2種があります。Fractal Audioの公式Wikiによれば、HERBIEのオリジナルキャビネットは「Diezel 4×12(V30、G12-K100)」とされており、上記の2つのキャビネットモデルが対応しています。
Kemper における収録
Kemperはアンプをデジタルでモデリングするのではなく、実機の音をプロファイリング(実際に収録)する機器です。アンプとキャビネットを1つのリグ(RIG)にまとめた形式で収録されており、キャビネット単独のエントリは存在しません。
| 種別 | モデル名(RIG NAME) | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | Diezel Herbert | Diezel Herbert(Diezelキャビ組み合わせ) |
| Amp | Diezel Herbert MK II | Diezel Herbert MK II(Marshall 1960A使用) |
Diezel Herbertのリグは、Diezelキャビネットと組み合わせたものです。Herbert MK IIのリグは、Marshall 1960A 4×12と組み合わせたものです。
LINE6 HELIX における収録
Diezel HerbertはLINE6 HELIXの現行ラインナップには収録されていません。HELIXにはDiezelブランドのモデルとして「Das Benzin Mega」と「Das Benzin Lead」(いずれもDiezel VH4ベース)が収録されていますが、Herbertに相当するモデルは存在しません。Diezel Herbertのサウンドに近いモデルをHELIXで再現したい場合は、上記Das Benzinモデルをベースにミッドレンジを若干開いた設定にすることで、Herbertのチャンネル2・3に近い音域に近づけられるとコミュニティで提案されています。
使用アーティスト
海外のアーティスト
- Jim Root(Slipknot)/ヘヴィメタル、ニューメタル:重厚なリフと複雑なリズムアレンジを両立するスタイルです。2008年のアルバム『All Hope Is Gone』のレコーディング時にOrange Rockerverb 100とHerbertをLittle Labs PCP Instrument Distro boxでブレンドして使用したことを、Guitar Worldのインタビューで明言しています。
- Joe Duplantier(Gojira)/プログレッシブ・メタル、グルーヴメタル:独自の「ウォームレスト」奏法と精密なリフが特徴です。自身のスタジオ「Silver Cord Studio」にHerbertを常設しており、YouTube動画内でアンプが確認されています。2016年のアルバム『Magma』でも使用しました。
- Myles Kennedy(Alter Bridge)/ハードロック:テクニカルなリフとメロディアスなボーカルを融合させたスタイルです。Alter Bridgeでの活動においてメインアンプとして使用していることを本人が明言しており、クリーンチャンネルの「スパークル感」を高く評価していることで知られています。
日本のアーティスト
- 横山健(Hi-STANDARD / Ken Yokoyama)/メロディックパンク、ポップパンク:直情的なコード進行と骨太なギタートーンが特徴です。「Diezel Herbert mk2 KT77 Black Edition」をメインアンプとして使用し、GiGS誌2015年11月号でアンプ設定の詳細を公開しました。Diezelが2018年にリリースした「Herbert Pedal」は、その連携から生まれたとされています。
よくある疑問
Diezel VH4とはどう違いますか?
Herbertは「VH4より親しみやすく、少しルーズ感がある」アンプです。VH4は4チャンネル・100Wで、各チャンネルに独立インサートループを持ち、よりタイトでコンプレッションの強いサウンドです。Herbertは3チャンネル・180Wで、ピッキングの強弱に素直に反応するとされています。チャンネルごとに別のエフェクトチェーンを組みたい場合はVH4が向いています。
初代・MKII・MKIIIで音は違いますか?
はい、世代によって音色のキャラクターが大きく変わります。初代とMKIIはKT77搭載で、初代は暗くムーディ、MKIIはトランスフォーマーの刷新でタイトさと解像度が向上しています。MKIIIはパワー管をEL34に変更し、7弦・8弦やダウンチューニングに最適化されました。中古で買う際は、どのバージョンかを必ず確認してください。
QUAD CORTEXなどのモデラーで代用できますか?
はい、代用できます。QUAD CORTEXには「D-Cell Hisbert Ch1 / Ch2 / Ch3」が収録されており、Fractal Audioには「HERBIE」シリーズ、Kemperにもプロファイルがあります。ただしLINE6 HELIXにはHerbertに相当するモデルがありません。またQUAD CORTEXにHerbert専用のキャビネットは無く、Diezel製品に対応する「412 D-Cell Front V30 ’04」を使うことになります。
ユーザーの評価と注意点
評価されている点
- Channel 2のデュアルボイシングが生み出す「3.5チャンネル相当の音域」:トグルスイッチ1つでMarshall Plexi的なヴィンテージクランチからJCM800的なヘヴィサウンドまで切り替えられるChannel 2は、「事実上4つの音色が入っている」とフォーラムで繰り返し評価されています。1台で異なるアンプキャラクターを持ち歩けるため、スタジオエンジニアやライブ兼用のギタリストから特に支持されています。
- VH4より「弾き手に素直に反応する」ダイナミクス:VH4がよりコンプレッションの強いタイトなサウンドであるのに対し、Herbertは「ピッキングの強弱に対してより正直に反応し、ニュアンスが出やすい」とHarmonycentral等のレビューサイトで繰り返し指摘されています。このダイナミックな感度は、特にスタッカートリフのメリハリをつけたいモダンメタルプレイヤーに高く評価されています。
- 180Wの余裕が生む「低音のクリアさ」:多弦ギターやダウンチューニング使用時に低音が詰まって音が潰れやすい他のアンプとは対照的に、Herbertは180Wの大出力がローエンドの分離感を保つとRedditや各フォーラムで繰り返し言及されています。「7弦・8弦ギターのスタッカートリフを最も明瞭に再現できるアンプのひとつ」というコミュニティ評価があります。
- MKIIIへの世代交代でよりモダンなサウンドに進化:初代・MKIIは「暗くてファジーなコンプレッション感」と評されることもありましたが、MKIIIはEL34パワー管への変更と回路の見直しにより、ミックスの中での存在感が増し「スタジオ録音でそのまま使えるタイトな音」になったという声がFractal Audioフォーラムでも確認されています。
注意点
- VH4と比較してチャンネルインサートループが少ない:VH4が各チャンネルに独立したインサートループを4系統持つのに対し、Herbertのエフェクトループはシリアルとパラレルとスイッチャブルインサートの3系統に集約されており、VH4ほど細かなチャンネル別エフェクト管理はできません。「チャンネルごとに完全に異なるエフェクトチェーンを組みたい場合はVH4の方が優れている」とフォーラムで指摘されています。
- バージョン間のサウンドの違いが大きい:初代・MKII・MKIIIでパワー管の種類(KT77→EL34)やトランスフォーマー仕様が異なるため、同じ「Herbert」でも購入した世代によって音色キャラクターが大きく変わります。中古市場での購入時はどのバージョンかを確認することが推奨されており、「初代Herbertは暗くてモーディ、MKIIIはタイトでモダン」という使い分けがコミュニティで共有されています。
- Mid-Cut機能のノブが直感的でなくセッティングに時間がかかる:独立した2ノブ(IntensityとVolume)で構成されるMid-Cut機能は、使いこなすと非常に強力なツールですが、「正直どこに設定していいか最初はわからない」「Mid-CutをオンにするとVolumeノブが必須になるため面倒」という声がフォーラムで散見されます。Fractal Audioでは「400Hzのピークフィルター(Q=1.4)で代用できる」という公式エンジニアのアドバイスもあります。
まとめ
Diezel Herbertは「扱いやすいDiezel」というキャッチコピーが最もよく似合うアンプです。VH4の「精密で彫刻的なタイト感」と比べると、Herbertはより直感的で弾き手のニュアンスを拾いやすく、1台で幅広いジャンルをカバーできる懐の深さを持っています。Jim Rootがヘヴィなメタルに、Myles Kennedyがメロディアスなハードロックに、横山健がパンクに——それぞれがまったく異なる音楽性でHerbertを選んでいるという事実が、このアンプの汎用性の高さを何よりも雄弁に語っています。もし試奏の機会があれば、まずChannel 2のトグルスイッチを「−」と「+」で行き来しながら弾いてみてください。1台のアンプから2種類の全く異なる表情が出てくる瞬間に、きっと「これは使える」と実感するはずです。


