
Peavey 6505は、5段カスケードのプリアンプを備えた、メタルやハードコア向けの120W・オール真空管ギターアンプヘッドです。1992年に「5150」として登場し、2004年に改名されて以降も現行品として販売されています。
Peavey 6505は、アメリカ・Peavey社が製造する120Wのオール真空管ギターアンプヘッドです。1992年にEddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)のシグネチャーアンプとして「Peavey 5150」の名で登場し、2004年にエディとPeaveyが袂を分かつ際、「6505」へと改名されました。6505という名はPeavey社設立40周年(1965年〜2005年)を記念したもので、5150と実質同じ回路・音色を受け継いでいます。Soldano SLO-100をベースに、5段カスケードのプリアンプとコールドバイアス(冷め気味に設定されたバイアス)の6L6パワー管を採用した設計が、爆発的なハイゲイン歪みとミックスで抜けるアタックを実現しています。メタル・ハードコア・ハードロックなど、「攻撃的でタイトなハイゲイントーン」を求めるプレイヤーに圧倒的な人気があります。一言で表すなら、「90年代〜2000年代メタルの定番——Eddie Van Halenが生み、数多のメタルバンドが愛用した、最も手頃なハイゲインアンプ」です。
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
主な特徴とスペック
スペック面の要点は、5段カスケードのプリアンプに6L6GCのパワー管4本を組み合わせた120Wの出力と、リズム/リードの2チャンネル構成です。
| メーカー | Peavey(アメリカ) |
|---|---|
| 製造期間 | 1992年〜(5150)、2004年以降は6505 |
| 出力 | 120W RMS(クリッピング時は130W) |
| パワー管 | 6L6GC×4 |
| プリ管 | 12AX7(ECC83)×5 |
| チャンネル数 | 2(リズム:クリーン/クランチ、リード:ハイゲイン) |
| コントロール | ゲイン、3バンドEQ、Presence、Resonanceなど |
| インピーダンス出力 | 4Ω / 8Ω / 16Ω 切替対応 |
| その他 | エフェクトループ、2ボタンのリモートフットスイッチ付属 |
| 形状 | ヘッドアンプ(キャビネット別売り) |
製造期間の補足として、1992 Originalリイシューも展開されています。パワー管の6L6GCは、アメリカ製アンプに多く使われる真空管で、締まった低音とクリアな高音が特徴です。プリ管の12AX7(ECC83)はプリアンプ用の真空管です。
コントロールは、各チャンネルにPre Gain、Low、Mid、High、Post Gain(マスター)、Presence、Resonanceを備え、リズムチャンネルにはBright/Crunchスイッチがあります。リズムチャンネルはクリーン/クランチの切替、リードチャンネルはハイゲインです。リモートフットスイッチではチャンネル選択とエフェクトを切り替えられます。
6505の回路は、Eddie Van Halenが当時愛用していたSoldano SLO-100をベースに、PeaveyのチーフエンジニアJames Brown(のちにAmptweaker創業)らが約2年かけて開発しました。5段カスケードのプリアンプと4つのゲインステージにより、軽く触れるだけで十分な歪みが得られる設計です。コールドバイアス(固定バイアスをやや冷め気味に設定)により、過度な飽和を抑えつつ、コントロールしやすいゲインと許容の広いサウンドを実現しています。リードチャンネルは爆発的なハイゲインが特徴で、ダウンチューニングやパルムミュートのリフでタイトな低域と噛みつくアタックが得られます。
エピソード
Eddie Van Halenは1990年頃、複数のメーカーに「現役ミュージシャンにも手が届く価格で、妥協のないオール真空管サウンド」を実現するアンプの開発を打診しました。ミシシッピ州に本拠を置くPeavey社は「労働者のアンプ」という評判で知られ、エディはその姿勢に共感して協力を決定しました。設計は当時エディが使用していたSoldano SLO-100を参考にし、James Brown主導で約2年の開発を経て1992年に5150が発表されました。5150という名前は、エディのスタジオ「5150 Studios」に由来し、カリフォルニア州法の一時的な精神科保護の条項番号からユーモラスに取ったものです。
Eddie Van Halenは、5150発表後、自らのツアーやレコーディングでこのアンプをメインに採用しました。従来のクランクしたMarshall Plexiに近いトーンを求めつつ、より安定したゲインとミックスで埋もれないカット力を実現しています。Van Halen後期の重厚なリフと甘いリードトーンには、5150のハイゲインが欠かせない要素となりました。
Jesper Strömblad(In Flames)は、メロディックデスメタルバンドIn Flamesの創設メンバーおよびギタリストとして、Colony以降のアルバムでPeavey 6505(および5150)をコアサウンドとして使用しています。Equipboardや複数の機材情報源で6505ヘッドの使用が確認されており、スウェーデンメタル特有の攻撃的かつメロディックなハイゲインサウンドの基盤となっています。
共に使用される機材
共に使用されるキャビネット
- Mesa/Boogie Rectifier 4×12(スタンダードOS等):Celestion Vintage 30(V30)×4を搭載し、6505と最も相性が良いとされる組み合わせのひとつです。V30のタイトな低域と明瞭なミッドが6505のハイゲインと相乗し、ミックスで抜けるメタルトーンを実現します。Rig-Talk、SevenString.org等で「extremely common pairing」と繰り返し言及されています。
- Peavey 5150/6505 4×12キャビネット:Sheffield 1200、またはCelestion Vintage 30とC90のミックスを搭載しています。オリジナル5150と同梱された純正キャビネットで、現代ではV30やC90をミックスした構成も人気です。6505の設計時から想定されたペアリングです。
- Marshall 1960(V30搭載モデル等):Celestion Vintage 30×4を搭載し、6505の攻撃的なトーンに適度な温かみを加える選択肢です。Eddie Van Halenの classic 5150/Greenback の組み合わせに近い、やや明るいトーンを求める場合の代替として言及されます。
- Orange PPC412:Celestion Vintage 30×4を搭載し、エクストリームメタル向けのキャビネットとしてRig-Talk等で推奨されています。重いものの、低域の迫力とミッドのカットが6505と相性が良いとされます。
共に使用されるエフェクター
- Ibanez Tube Screamer(TS808 / TS9):ブースターとして使い、Driveをゼロに近くしてLevelでプリアンプを押し込みます。6505のリードチャンネルの前段でブーストすると低域が締まり、アタックがシャープになるため、メタルプレイヤーに最も普及した定番の組み合わせです。Maxon OD-808も同様の用途で人気があります。
- その他OD/ブースター(Maxon OD808、Boss SD-1等):クリーンブーストとして使います。6505はゲインが豊富なため、軽いブーストで十分にタイトな音が得られます。ミッドブースト系のペダルがミックスで抜けやすく、フォーラムで繰り返し推奨されています。
兄弟機・派生機
Peavey 5150(1992年)
6505の前身で、Eddie Van Halenとのコラボで1992年に発売されました。回路・音色は6505とほぼ同一です。輸入ゲイン回路や一部の結合キャパシタの違いがFractal Forum等で言及されています。
Peavey 6505+(5150 II)
6505の改良版です。リズムチャンネル専用のプリ管を1本追加し、クリーンが大幅に改善されました。より明るくナサルなトーンで、ゲインはやや控えめです。バイアス調整が可能で、クリーンを多用する場合は6505+が有利です。
Peavey 6505 MH(Mini Head)
20Wのミニヘッドです。EL84パワー管×2、12AX7×3を搭載し、小音量やスタジオ向けにコンパクト化されています。6505のキャラクターを小型で実現した1台です。
Peavey 6505 1992 Original
2000年代以降の公式リイシューです。オリジナル5150/6505の回路に忠実な現行モデルです。
モデリング
モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。Peavey 6505は、メタル・ハードロックの定番アンプとして主要なモデリング機器の多くに収録されています。
QUAD CORTEX における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | PV-505 Lead | Peavey 6505 |
| Amp | PV-505 Rhythm | Peavey 6505 |
| Cabinet | 412 CA Stand OS A V30 ’01 | Mesa Oversize Angled |
6505専用キャビネットは収録されていないため、相性の良いMesa Rectifier系V30キャビネットを掲載しています。表のキャビネットの元になった実機は、Celestion Vintage 30を搭載しています。
Fractal Audio Systems における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | PVH 6160 Block | Peavey 5150 Block Letter |
| Amp | PVH 6160 Block Crunch | Peavey 5150 Block Letter |
| Cabinet | 4×12 PVH 6160 (RW) | Peavey 5150 4×12 |
PVH 6160 Blockの元になった5150 Block Letterは6505の前身にあたり、PVH 6160 Block Crunchはそのクランチチャンネルです。4×12 PVH 6160 (RW) は、Sheffield 1200スピーカーを搭載したPeavey 5150の4×12キャビネットが元になっています。
Kemper における収録
Kemperはアンプをプロファイリング(実機をそのまま取り込む)する機器のため、ファクトリーリグではアンプとキャビネットが1つのリグにまとめて収録されています。キャビネット単独のエントリは存在しません。
| 種別 | モデル名(RIG NAME) | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | Peavey 6505 | Peavey 6505 |
LINE6 HELIX における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | PV Panama | Peavey 5150 |
| Cabinet | 4×12 Cali V30 | MESA/Boogie 4FB |
6505専用キャビネットは収録されていないため、相性の良いMesa Rectifier V30キャビネットを掲載しています。表のキャビネットの元になった実機はMESA/Boogie 4FB V30で、V30スピーカーを搭載しています。
使用アーティスト
海外のアーティスト
- Eddie Van Halen(Van Halen)/ハードロック:5150の開発者でありメイン使用者です。1992年以降、5150をツアー・レコーディングのメインアンプとして使用し、「Balance」「For Unlawful Carnal Knowledge」等、後期Van Halenのサウンドを定義しました。
- Jesper Strömblad(In Flames)/メロディックデスメタル(スウェーデン出身):EquipboardでPeavey 6505の使用が確認されています。Colony以降のIn Flamesの攻撃的かつメロディックなサウンドの基盤となっています。
日本のアーティスト
Peavey 6505は、国内のメタル・ハードコアシーンで広く認知されている定番アンプです。ただし、6505をメインアンプとして使用していることが信頼できる情報源で確認できる著名な邦楽アーティストについては、現時点で裏付けが取れていないため、ここでは記載を省略します。
よくある疑問
5150と6505はどう違いますか?
名前が違うだけで、回路と音色は実質同じです。5150は1992年にEddie Van Halenのシグネチャーアンプとして登場し、2004年にエディとPeaveyが袂を分かつ際に6505へ改名されました。クリーンを重視する場合は、リズムチャンネル専用のプリ管を1本追加した6505+(5150 II)が有利です。
QUAD CORTEXなどのモデラーで代用できますか?
QUAD CORTEXにはPV-505 LeadとPV-505 Rhythmが収録されているため、6505の音を試すことはできます。Fractal Audioには5150 Block Letterを元にしたPVH 6160 Block、Kemperには6505のリグ、LINE6 HELIXには5150を元にしたPV Panamaが収録されています。ただし、6505専用のキャビネットはどの機種にも収録されておらず、相性の良いMesa系V30キャビネットなどで代用する形になります。
ユーザーの評価と注意点
評価されている点
- 圧倒的なハイゲインとタイトな低域:5段カスケードのプリアンプにより、ゲインを少なめにしても十分な歪みが得られ、パルムミュートのリフで締まった低域と噛みつくアタックが特徴です。メタル・ハードコアの定番サウンドとして、Rig-TalkやSevenString.org等で「tight」「crushing」と繰り返し評価されています
- ミックスで抜ける設計:コールドバイアスとプレート駆動のトーンスタック、グリッドへの負帰還により、オーバートーンが豊かで「カット」の効いた音になり、バンドミックスで埋もれにくいと評されます。Fractal Forumでも「your sound is lost in the mix without those overtones」と5150設計の意図が説明されています
- コストパフォーマンス:120Wのオール真空管ハイゲインアンプとして、EVH 5150 IIIや Mesa Rectifierに比べて比較的手頃な価格で入手でき、「working man’s amp」の伝統を受け継ぎます
注意点
- クリーンチャンネルが弱い:リズムチャンネルのクリーンは「lackluster」「not particularly nice」とSeymour Duncan Forum等で指摘され、クリーンを多用するプレイには不向きです。クリーンが重要なら6505+(5150 II)への変更が推奨されます
- 汎用性に欠ける:「one trick pony」と評されることが多く、ハードロック・メタル以外の用途には適していません。リズムとリードでEQが共通のため、チャンネルごとの独立したトーニングには限界があります
- Presenceのテーパーが独特:実機のPresenceノブは0〜7付近まで効きが弱く、7以上で急に高域が増えるという特性があります。Fractal Forum等で「wrong taper」と指摘されており、細かい微調整には慣れが必要です
まとめ
Peavey 6505は、Eddie Van Halenが「労働者のアンプ」Peaveyとともに作り上げた、90年代以降のメタル・ハードロックを代表するハイゲインアンプです。Soldano SLO-100をベースにした5段カスケードとコールドバイアスの6L6により、爆発的な歪みとミックスで抜けるアタックを、比較的手頃な価格で実現しています。
「メタルやハードコアの定番ハイゲインサウンドが欲しい」「タイトな低域と噛みつくリフトーンを求めている」「予算を抑えつつ本格的な真空管ハイゲインアンプを試したい」という方には特におすすめです。クリーンは弱いものの、リードチャンネルの攻撃的なトーンは今なお多くのプレイヤーに支持されています。QUAD CORTEX、Fractal Audio、Kemper、LINE6 HELIXのいずれにも6505系のモデリングが収録されているため、まずはモデリングで6505の世界観を体験してみてください。

