Friedman BE-100|ギター用アンプの名機を解説

Friedman BE-100 アンプ

Friedman BE-100は、Friedman Amplificationが製作する、100Wのオール真空管ギターアンプヘッドです。マーシャルのPlexiを改造した「ブラウン・アイ・モッド」をベースにした、ハイゲインから繊細なクランチまでを1台でこなすブリティッシュ・ハイゲインアンプです。

Friedman BE-100(フリードマン・ブラウン・アイ・100)は、アメリカ・ロサンゼルス発のブティックアンプ(少量生産の高品質な手作りアンプ)メーカー、Friedman Amplificationが製作する、100Wのオール真空管ギターアンプヘッドです。マーシャルのPlexiを改造した「ブラウン・アイ・モッド」をベースに、Dave Friedmanが長年のアンプ改造経験を注ぎ込んで完成させた一台で、「現代最高峰のブリティッシュ・ハイゲインアンプ」として世界中のプロ・ギタリストから支持を集めています。ハードロックからヘビーメタル、クランチを活かしたオルタナティブロックまで、ガッツのある歪みと繊細なダイナミクスを求めるプレイヤーに最適です。「なぜこのアンプが話題になるのか」を一言で表すなら、「マーシャルを知り尽くした男が作った、マーシャルを超えたマーシャル」という点に尽きます。

名機サクッと解説

「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。

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主な特徴とスペック

スペック面の要点は、BEとHBEという2つのハイゲインチャンネルに加え、Plexi Cleanを備えた3チャンネル構成と、手配線による100Wのオール真空管設計です。

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メーカーFriedman Amplification(アメリカ・ロサンゼルス)
出力100W
パワー管(出力管)EL34 × 4本
プリ管(前置増幅管)12AX7 × 5本
チャンネル数3チャンネル(Plexi Clean / BE / HBE)
BEチャンネルBrown Eyeの略。クランチからハイゲインまで
HBEチャンネルHairy Brown Eyeの略。BEよりゲインが高い
Plexi CleanチャンネルSmallboxアンプから移植されたクリーン
主なコントロールGain、Master、EQ、Presence、Thumpなど
エフェクトループシリーズ(直列)、超高透過設計
インピーダンス出力4Ω / 8Ω / 16Ω 切替対応
製造方法USA・ロサンゼルスで手配線(ハンドワイヤード)
定価(参考)約40万円前後(BE-100 Deluxe)

パワー管のEL34は真空管の種類のひとつで、英国製アンプに多く使われ、ミッドレンジが豊かでガリっとした音色が特徴です。プリ管の12AX7は、ギターアンプに最も多く使われる増幅用真空管です。

チャンネル数は、現行のBE-100 Deluxeの仕様です。初期型は2チャンネル(BE / HBE)でした。

BEチャンネルのBrown Eye(ブラウン・アイ)は、ヴィンテージ・マーシャルのモッドサウンドを再現する本機の核となるチャンネルです。HBEチャンネルのHairy Brown Eye(ヘアリー・ブラウン・アイ)は、BEよりさらにゲインを高めた、よりモダンでタイトなハイゲインサウンドのチャンネルです。Plexi Cleanチャンネルは、クリスタルなクリーンから、ギターのボリュームを上げるとPlexiらしいグリット(ザリッとした歪み)まで出せます。

主なコントロールは、Gain、Master、Bass、Middle、Treble(BE/HBE共有EQ)、Presence、Thump(低域を調整するつまみ)、Response(アンプの反応速度・フィールを調整)、C45スイッチ、Saturationスイッチ、Voiceスイッチ(3段階の音色切替)、Gain Structureスイッチです。エフェクトループはシリーズ(直列)で、超高透過設計により音色変化を最小限に抑えます。

エピソード

BE-100が生まれる背景には、Dave Friedmanという一人のアンプ修理・改造職人の半生があります。彼は1990年代からラック・システムズ(Rack Systems Ltd.)という名のアンプ改造工房をロサンゼルスで営み、Eddie Van HalenやJerry Cantrellといったトップ・ギタリストたちのアンプを手がけることで名声を積み上げてきました。

BE-100の「BE」すなわち「Brown Eye(ブラウン・アイ)」という名前は、かつてJose Arredondo(ホセ・アレドンド)が開発したマーシャルPlexiの改造手法に由来します。アレドンドはその改造ポイントを黒いシリコンで覆って秘密にしていたことで知られており、「Brown Eye Mod(ブラウン・アイ・モッド)」として伝説的な存在となりました。Dave Friedmanはこのコンセプトを参照しながら、独自の解釈と改良を加えて昇華させた回路を完成させたのです。

アンプはもともと「Marsha(マーシャ)」という名称で呼ばれていましたが、Marshall(マーシャル)社からの商標上の圧力を受けて改名を余儀なくされ、「BE-100」という現在の名前に変わりました。こうした経緯もあって、BE-100のサウンドは「マーシャルDNAを持ちながらも、マーシャルには出せない領域に踏み込んだトーン」と評されることが多く、Fractal AudioのCEOであるCliff Chaseも積極的にモデリングに取り組んだことが知られています。

Jerry Cantrell(Alice in Chains)はDave Friedmanとの長い関係の中でBE-100回路を愛用し、その後Dave FriedmanはCantrellのためだけの特別なモッドを施した「JBE(Jerry Blonde Eye)」スイッチを開発しました。これが後にJJ-100シグネイチャーモデルとして製品化されました。Cantrellの重く歪んだリフ・サウンドとメランコリックなメロディーを両立するアンプとして、BE-100回路が欠かせない存在であることが伺えます。

共に使用される機材

共に使用されるキャビネット

  • Friedman 412 Vintage 4×12:搭載スピーカーはCelestion Vintage 30 × 2 + Celestion Greenback × 2(混載)です。BE-100の純正ペアリングで、V30のミッドの厚みとGreenbackの中域のナチュラルな艶が合わさり、BEチャンネルの持つ「ガリっとしながら粘り気のある」特性を最大限に引き出します。
  • Bogner 2×12 / 4×12(Celestion Vintage 30搭載):搭載スピーカーはCelestion Vintage 30です。BE-100ユーザーの間でもっともポピュラーな組み合わせのひとつで、Bognerキャビのタイトな低域がBE-100の重心の低いサウンドを引き締めます。スタジオ・プロファイル(録音データ)でも多数この組み合わせが確認されています。

共に使用されるエフェクター

  • Ibanez Tube Screamer(TS808 / TS9):オーバードライブです。BE-100のフロントに挿すことで低域をカットしてミッドを前に出し、ゲインのレンジをさらに引き上げる定番のブースト手法で、特にモダンメタルのプレイヤーに人気が高いです。
  • Friedman BE-OD(Friedman Brown Eye Overdrive):オーバードライブです。BE-100のBEチャンネルの特性を踏襲したペダルで、クリーンチャンネル使用時にペダル側でBEトーンを再現したり、BEチャンネルをさらにプッシュするためのブースターとして使われます。
  • Klon Centaur系(Klon KTR、Mythical Overdrive等):クリーンブースター / オーバードライブです。音色を大きく変えずにゲインと存在感を底上げするクリーンブースト用途で、BE-100の持つ透明感とダイナミクスを保ちながら、アタック感とコンプ感を調整できます。
  • TC Electronic Nova Delay / Strymon Timeline等:ディレイです。エフェクトループ経由で使用します。BE-100のエフェクトループは超高透過設計のため、高品位なディレイとの相性が非常に良く、クリーンなリピートが得られます。

兄弟機・派生機

BE-100 Deluxe

出力は100Wです。BE-100の現行進化版です。PlexiクリーンチャンネルをSmallboxから移植して3チャンネル化しました。コントロールも大幅に増え、より多彩なボイシングが可能になった「フル装備版」です。

Dirty Shirley

出力は40Wです。BE-100よりもヴィンテージ・マーシャル寄りの設計です。ゲインを抑えてナチュラルなブレイクアップ(アンプ自体の歪み)を楽しみたい人向けの「クラシックロック版」です。

Smallbox

出力は50Wです。コンパクトな筐体に50Wを詰め込んだモデルです。BE-100のDeluxe版に搭載されたPlexiクリーンチャンネルの元となったアンプで、扱いやすいサイズ感を求めるプレイヤー向けです。

Pink Taco

出力は20Wです。小型・軽量設計の20Wモデルです。自宅や小規模スタジオでもBEトーンを楽しめる「ライト版」です。

JJ-100 Jerry Cantrell Signature

出力は100Wです。Alice in ChainsのJerry CantrellとDave Friedmanが共同開発したシグネイチャーモデルです。BE-100回路をベースに、「JBE(Jerry Blonde Eye)」スイッチを搭載した専用チューニング版です。

Phil X Signature

出力は100Wです。セッション・ギタリスト兼Bon JoviのPhil XとDave Friedmanが共同開発したシグネイチャーモデルです。1チャンネル設計で、ギターのボリューム操作だけでクリーン〜リードまでカバーできるシンプルな設計です。

モデリング

モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。以下に主要なデジタル機器でのFriedman BE-100のモデリング情報をまとめます。

QUAD CORTEX における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpFreeman 100 CleanFriedman HBE100(Friedman BE-100のHBEチャンネル)
AmpFreeman 100 RhythmFriedman HBE100(Friedman BE-100のHBEチャンネル)
AmpFreeman 100 LeadFriedman HBE100(Friedman BE-100のHBEチャンネル)
Cabinet412 Bogna Uber V30 00sBogner Ubercab(Celestion Vintage 30搭載)

Friedman BE-100専用キャビネットは収録されていないため、相性の良いキャビネットを掲載しています。QUAD CORTEX上のFreemanモデルは公式の「Based on」表記ではHBE100(Hairy Brown Eye 100、BE-100のHBEチャンネル)として収録されています。BEチャンネルよりもゲインが高いHBEモードがベースとなっている点に注意してください。

Fractal Audio Systems における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpFriedman BE V1Friedman BE-100(BEチャンネル、Voice left設定)
AmpFriedman BE V2Friedman BE-100(BEチャンネル、Voice middle / 最もブライト)
AmpFriedman BE V3Friedman BE-100(BEチャンネル、Voice right設定)
AmpFriedman BE C45Friedman BE-100(BEチャンネル、C45スイッチON)
AmpFriedman BE 2010Friedman BE-100(2010年製、いわゆる「Marsha」エディション)
AmpFriedman HBE V1Friedman BE-100(HBEチャンネル、Voice left設定)
AmpFriedman HBE V2Friedman BE-100(HBEチャンネル、Voice middle)
AmpFriedman HBE V3Friedman BE-100(HBEチャンネル、Voice right設定)
AmpFriedman HBE C45Friedman BE-100(HBEチャンネル、C45スイッチON)
AmpFriedman HBE 2010Friedman BE-100(2010年製、HBEモード)
Cabinet4×12 Friedman V30Friedman 4×12キャビネット(Celestion Vintage 30搭載)
Cabinet4×12 Friedman GBFriedman 4×12キャビネット(Celestion Greenback搭載)

Fractal Audio(Axe-Fx III / FM9 / FM3)では、BEチャンネル・HBEチャンネルそれぞれに複数のボイシングバリエーションが用意されており、本体上でモデル名に「Friedman」の名称がそのまま使用されています。これはFractal AudioのCEO Cliff ChaseとDave Friedmanの間に使用許諾の合意があるためとされています。

Kemper における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpFriedman BE-100Friedman BE-100

KemperのFactory Rigsには「Friedman BE-100」という名称のリグが複数収録されています。Kemperはアンプとキャビネットをひとつの「リグ(RIG)」にまとめた形式で収録しており、キャビネット単独のエントリは存在しません。実際のリグの多くはBogner 2×12(Celestion Vintage 30搭載)とペアリングされた状態で収録されています。

LINE6 HELIX における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpPlacater CleanFriedman BE-100(クリーンチャンネル)
AmpPlacater DirtyFriedman BE-100(BE / HBEチャンネル)
Cabinet4×12 Uber V30Bogner Ubercab(Celestion Vintage 30搭載)

Friedman BE-100専用キャビネットは収録されていないため、相性の良いキャビネットを掲載しています。LINE6 HELIXは商標上の理由からFriedmanの名称を使用せず、「Placater(プレイケイター)」という独自の名称を使用しています。ユーザーの間では「4×12 Uber V30」(Bogner Ubercabをベースにしたキャビネットモデル)が定番の組み合わせとして知られています。

使用アーティスト

海外のアーティスト

  • Jerry Cantrell(Alice in Chains)/グランジ、ヘビーメタル:重くダークなリフと哀愁のあるメロディーで知られます。BE-100回路をベースに使用し、Dave FriedmanとのコラボでBE-100回路を元にしたJJ-100シグネイチャーモデルを開発しました。『The Devil Put Dinosaurs Here』(2013年)以降の活動期に使用しています。
  • Phil X/ハードロック、セッション、ポップロック:Bon Joviのツアーギタリストとしても有名なオールラウンドプレイヤーです。Friedman Amplificationのエンドーサーとして長年BE-100を使用し、その後、自身のシグネイチャーモデル「Phil X Signature」を開発しました。

よくある疑問

BE-100とBE-100 Deluxeはどう違いますか?

最大の違いはチャンネル数です。初期型のBE-100は2チャンネル(BE / HBE)でしたが、現行のBE-100 Deluxeは、Smallboxから移植したPlexi Cleanチャンネルを加えた3チャンネルになっています。コントロールも大幅に増え、より多彩なボイシングが可能です。

QUAD CORTEXがあれば実機は不要ですか?

用途によります。QUAD CORTEXにはFreeman 100 Clean / Rhythm / Leadが収録されており、元はBE-100のHBEチャンネルです。BEチャンネルよりゲインが高いHBEモードがベースとなっている点に注意してください。Friedman BE-100専用のキャビネットは収録されていないため、Bogner Ubercab(Celestion Vintage 30搭載)をベースにした412 Bogna Uber V30 00sなどと組み合わせます。

ユーザーの評価と注意点

評価されている点

  • ギターのボリューム操作への追従性が極めて高い:ギターのボリュームノブを絞るだけでクリーンに近いトーンが得られ、上げると豊かな歪みに変わります。単一チャンネルでも表情豊かな演奏が可能なため、「ギターとアンプだけで完結できる」と評するユーザーが多く見られます
  • 多数のスイッチによる幅広い音色バリエーション:C45・Saturation・Voice・Gain Structureといったスイッチの組み合わせにより、ヴィンテージPlexiトーンからモダン・ハイゲインまで多彩な音色が得られます。「JCM800、JCM900、5150に近い音もBE-100ひとつで再現できる」との声も多く見られます(出典:Reddit r/GuitarAmps)。
  • ゲインが高くても低域がタイトに保たれる:一般的なマーシャル系アンプはハイゲイン設定にすると低域が膨らみやすいですが、BE-100はインプット段で低域を積極的にカットし、パワーアンプ段で再び低域を付加する設計のため、ハイゲインでも輪郭がはっきりしたタイトなローエンドを維持できます(出典:Fractal Audioフォーラム / Cliff Chaseのコメント)。
  • クリーントーンのクオリティが高い:BE-100 Deluxeに追加されたPlexiクリーンチャンネルは「BlackfaceフェンダーとAC30の特性を併せ持つ」と評されており、クリーンだけでなく軽いクランチまで幅広く対応できます。

注意点

  • スイッチが多く、音作りに時間がかかる場合がある(オプション・パラリシス):Voice・Saturation・C45など複数のスイッチが存在するため、最初は「どの組み合わせが正解かわからない」と感じるユーザーが多く見られます。実機で音を出しながら少しずつ試すことが重要です(出典:Reddit r/GuitarAmps、複数スレッドで繰り返し言及)。
  • 電源スイッチが背面にある:BE-100の電源スイッチはアンプ背面に配置されているため、ラックに搭載したり、複数のアンプを並べるような環境では操作しにくいと感じるユーザーがいます(出典:Reddit r/GuitarAmps)。
  • ネガティブ・フィードバック(NFB)の挙動がやや特殊:BE-100のネガティブ・フィードバック(アンプの音を滑らかにする回路の一種)はスピーカーアウトジャックから取り出す独特の設計で、接続するキャビネットのインピーダンス(Ω数)によって低域のキャラクターが変わります。16Ωキャビでは低域がしっかりと出て、8Ωキャビでは相対的にタイトになる傾向があるため、キャビネット選びが音色に大きく影響します(出典:Fractal Audioフォーラム / Cliff Chaseのコメント)。

まとめ

Friedman BE-100は、「マーシャル系のトーンが好きだが、もっとゲインが欲しい」「ヴィンテージな雰囲気を持ちながら現代のステージにも通用する音が欲しい」というギタリストにとって、理想に近いアンプです。ハードロックからモダンメタルまで守備範囲が広く、ギターのボリューム操作への反応の良さや、多彩なスイッチによる音色の引き出しの多さは、本機ならではの大きな魅力です。また、QUAD CORTEX・Fractal Audio・Kemper・LINE6 HELIXといった主要なデジタル機器にも幅広くモデリングされているため、「実機を持つ前にまずデジタルで試してみる」という入門アプローチも非常に充実しています。ブリティッシュ・トーンの系譜を受け継ぎながらも、唯一無二の存在感を放つFriedman BE-100——一度その音を体験すれば、なぜこれほど多くのプロが愛用するのかが即座に理解できるはずです。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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