
Fender Deluxe Reverb ’65 Reissueは、6V6パワー管と12インチスピーカーを搭載した、22Wの真空管コンボアンプです。1963年発表のブラックフェイス時代のDeluxe Reverbを復刻したもので、1993年から継続生産されています。
Fender Deluxe Reverb ’65 Reissueは、アメリカ・Fender社が1963年に発表したブラックフェイス時代の伝説的なコンボアンプを、1993年よりリイシュー(復刻版)として製造している22Wの1×12真空管コンボアンプです。6V6パワー管2本と12インチJensenスピーカーを搭載し、AB763回路による澄んだクリーン、内蔵のスプリングリバーブ、真空管トレモロが特徴です。ボリュームを上げると甘いブレイクアップ(自然な歪み)が得られ、スタジオ録音からライブまで最も多くレコーディングに使われたアンプのひとつとも言われています。ブルース、ロック、カントリー、インディーなど、「温かく透明なFenderクリーンと、適度なオーバードライブが欲しい」というプレイヤーに長年愛用されています。一言で表すなら、「Fenderのブラックフェイスサウンドを22Wで手軽に楽しめる、スタジオ定番のクリーン&ブレイクアップコンボ」——歴史的に最も録音に使われたアンプのひとつとして、今でも多くのプレイヤーが求める黄金のトーンを届けてくれる存在です。
「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。
主な特徴とスペック
スペック面の要点は、22Wの6V6×2と12インチスピーカー1本という構成に、スプリングリバーブと真空管トレモロを内蔵していることです。
| メーカー | Fender(アメリカ) |
|---|---|
| 製造期間 | 1963〜1982年(’65 Reissueは1993年〜) |
| 出力 | 22W RMS |
| パワー管 | 6V6GT×2 |
| 整流管 | 5AR4(GZ34) |
| プリ管 | 12AX7(ECC83)×4 |
| チャンネル数 | 2(Normal、Vibrato) |
| コントロール | Volume、Treble、Bass、Reverb ほか |
| 内蔵エフェクト | スプリングリバーブ、真空管トレモロ |
| スピーカー | 12インチ Jensen C-12K(リイシュー仕様) |
| その他 | フットスイッチ付属、外部スピーカー出力(8Ω) |
| 形状 | 1×12コンボアンプ(スピーカー内蔵) |
各部の補足です。パワー管の6V6GTは小型五極管で、温かみのある低〜中域と甘いブレイクアップが特徴です。整流管の5AR4(GZ34)は真空管整流で、ソフトなアタックとサギーなレスポンスをもたらします。プリ管の12AX7(ECC83)はプリアンプ用の真空管です。
チャンネルはNormalとVibratoの2つで、Vibratoチャンネルにはトレモロとリバーブが付いています。各チャンネルにVolume、Treble、Bassがあり、VibratoチャンネルにはReverb、Speed、Intensity(トレモロ)が加わります。そのほかにMaster VolumeとPresenceを備えます。内蔵のトレモロは、振動数の遅いFenderらしいトレモロです。
フットスイッチはリバーブとトレモロの切り替え用の2ボタンタイプです。
Deluxe ReverbはFenderのブラックフェイス時代(1963年頃〜)を代表するAB763回路を採用しています。Normalチャンネルはシンプルなトーンスタックでクリーンが主体、Vibratoチャンネルはトレモロとリバーブが組み込まれた「Fenderらしい」チャンネルとして知られます。22Wという出力は、Twin Reverb(85W)やSuper Reverb(45W)に比べて控えめで、ボリュームを上げると6V6の甘いブレイクアップが得られやすいのが魅力です。小〜中規模のスタジオやライブで「十分な音量」と「自然な歪み」のバランスが良く、「most recorded amp」のひとつと評される理由となっています。
エピソード
1963年、Fender社はブラックフェイス(黒いパネル)時代の新機種として、当時人気のあったVibroverbのコンパクト版にあたるDeluxe Reverbを発表しました。AB763という共通回路基盤を使い、Princeton ReverbやSuper Reverb、Twin Reverbと系統をなすラインナップのひとつです。22Wの6V6×2と12インチスピーカー1本という構成は、当時のスタジオやクラブにとって「十分な音量」と「コントロールしやすいサイズ」のバランスが良く、60年代以降のロック、ブルース、カントリーのレコーディングで頻繁に使われるようになりました。
John Mayerは、Fender Custom ShopのChris Flemmingと、Dumble AmplifiersのHoward Dumble(Alexander Dumble)の協力を得て製作したカスタムDeluxe Reverbを所有しています。このアンプは「American Pie」をLetterman番組で披露した際など、多くの演奏で使用されており、Mayerが追求する澄んだクリーンとニュアンス豊かなオーバードライブの基盤となっています。標準の’65 Reissueとは回路がカスタマイズされていますが、Deluxe Reverbの持つ「録音に向いたクリアなトーン」の系譜を継いでいます。
Fender Deluxe Reverbは1960年代よりスタジオの定番として使われ続け、無数のレコーディングで「温かく透明なFenderクリーン」や「程よいブレイクアップ」を提供してきました。1982年にオリジナルが製造終了した後も需要は根強く、1993年に’65 Reissueが登場すると、ヴィンテージ品の高騰を避けつつ本格的なブラックフェイスサウンドを手にできるとして、アマチュアからプロまで広く支持されています。
共に使用される機材
共に使用されるキャビネット
Fender Deluxe Reverb ’65 Reissueは1×12コンボアンプのため、該当なしとして省略します。
共に使用されるエフェクター
- Ibanez Tube Screamer(TS808 / TS9):オーバードライブ・ブースターとして使われます。Deluxe Reverbのクリーンに軽いゲインを足すと甘いミッドが立ち上がり、ブルースやロックのリードトーンに最適です。Driveを抑えてLevelで押し込むブースト用法も人気で、アンプのブレイクアップを引き立てます。
- コンプレッサー(Keeley、Wampler等):ダイナミクス制御に使われます。Fenderクリーンのサスティンやアタックを整え、カントリーやファンク系のカッティングにメリハリを加えます。Deluxe Reverbは元々ダイナミクスが良いため、軽めのコンプが相性が良いとされています。
- アナログDelay(Carbon Copy、DM-2等):内蔵リバーブに加えてslapback(短いディレイ)やエコーを足すと、ロックやサザンロック風の奥行きが得られます。Deluxe Reverbのクリーンはエフェクターが乗りやすく、エフェクトループを使わずフロントで繋いでも自然に馴染みます。
兄弟機・派生機
Fender Deluxe Reverb ’64 Vintage Reissue
’65よりわずかに前の年のブラックフェイス仕様をリイシューしたモデルです。’65と音色は近く、細部の回路やトランスの違いで微妙なヴィンテージ感が出ます。コレクターやこだわり派向けです。
Fender Princeton Reverb ’65
10インチスピーカー、12Wのモデルです。Deluxeより小型・低出力で、ブレイクアップがより早く得やすくなります。home recordingや小規模ライブ向けです。
Fender Super Reverb ’65
4×10スピーカー、45Wのモデルです。Deluxeより出力と低域の迫力が大きく、よりクリーン寄りです。大規模ライブやアンサンブルで埋もれない音が必要な場合に向きます。
Fender Twin Reverb ’65
2×12スピーカー、85Wのモデルです。Deluxeより大幅に高出力で、クリーンが主体です。大ホールやクリーントーンを多用するジャズ・ポップス向けです。
モデリング
モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。Fender Deluxe Reverbは、スタジオ定番アンプとして主要なモデリング機器の多くに収録されています。
QUAD CORTEX における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | US DLX 65 Reissue | Fender Deluxe Reverb ’65 Reissue |
| Cabinet | 112 US DLX Black C12K 00s | Fender Deluxe “Blackface” |
キャビネットの元ネタは、Jensen C12Kスピーカーを搭載したFender Deluxe(ブラックフェイス)です。
Fractal Audio Systems における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | Deluxe Verb Nrm | Fender Deluxe Reverb ’65 Reissue |
| Amp | Deluxe Verb Vib | Fender Deluxe Reverb ’65 Reissue |
| Cabinet | 1×12 Deluxe Verb | Fender Deluxe Reverb |
Deluxe Verb NrmはNormalチャンネル、Deluxe Verb VibはVibratoチャンネルの再現です。キャビネットの元ネタはJensen C12Kを搭載したFender Deluxe Reverbです。
Kemper における収録
Kemperはアンプをプロファイリング(実機をそのまま取り込む)する機器のため、ファクトリーリグではアンプとキャビネットが1つのリグにまとめて収録されています。キャビネット単独のエントリは存在しません。
| 種別 | モデル名(RIG NAME) | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | Fender 65 Deluxe | Fender ’65 Deluxe Reverb |
| Amp | Fender 65-Deluxe Reverb | Fender ’65 Deluxe Reverb |
| Amp | Fender Deluxe Reverb 1965 | Fender Deluxe Reverb 1965 |
LINE6 HELIX における収録
| 種別 | モデル名 | 元となった実機 |
|---|---|---|
| Amp | US Deluxe Nrm | Fender Deluxe Reverb(Normalチャンネル) |
| Amp | US Deluxe Vib | Fender Deluxe Reverb(Vibratoチャンネル) |
| Cabinet | 1×12 US Deluxe | 1×12″ Fender Deluxe Oxford |
使用アーティスト
海外のアーティスト
- John Mayer/ブルースロック、ポップス:Fender Custom Shop製のカスタムDeluxe Reverbを長年使用しています。Dumbleの協力で制作されたもので、澄んだクリーンとニュアンス豊かなリードトーンが持ち味です。Letterman番組での「American Pie」や多くのレコーディング・ライブで使用され、Equipboard・Ground Guitar等で確認できます。
- James Valentine(Maroon 5)/ポップス、ファンク:キャッチーなリフとクリーンが持ち味です。EquipboardでFender ’65 Deluxe Reverb Reissueの使用が確認されています。
日本のアーティスト
Fender Deluxe Reverbは、国内のスタジオやロック・ブルースシーンで広く認知されている定番アンプです。ただし、Deluxe Reverb ’65 Reissueをメインアンプとして使用していることが信頼できる情報源で確認できる著名な邦楽アーティストについては、現時点で裏付けが取れていないため、ここでは記載を省略します。
よくある疑問
Twin ReverbやPrinceton Reverbとはどう違いますか?
主な違いは出力とスピーカー構成です。Deluxe Reverbは22Wの1×12で、Princeton Reverb ’65(12W・10インチ)より大きく、Super Reverb ’65(45W・4×10)やTwin Reverb ’65(85W・2×12)より控えめです。Deluxeは小〜中規模のスタジオやライブで、十分な音量と自然な歪みのバランスが取りやすい点が魅力です。
QUAD CORTEXがあれば実機は不要ですか?
まずはモデリングで試す使い方ができます。QUAD CORTEXにはアンプ「US DLX 65 Reissue」とキャビネット「112 US DLX Black C12K 00s」が収録されています。Fractal、Kemper、LINE6 HELIXにも収録されており、本物のトーンに興味が湧いたら実機を試す流れがおすすめです。
自宅で使えますか?
22Wでも自宅では大音量になりがちです。本格的なブレイクアップを味わうにはボリュームを上げる必要があり、attenuator(減衰器)の使用が検討されます。フォーラムでも「too loud for bedroom」といった声が見られます。
ユーザーの評価と注意点
評価されている点
- 「most recorded amp」のひとつとしての実績:1960年代以降、無数のスタジオでレコーディングに使われてきた実績があり、ミックスで自然に馴染むクリーンとブレイクアップが特徴です。22Wという出力は大音量を必要としない録音環境で「十分なヘッドルーム」と「甘い歪み」のバランスが取れ、エンジニアにも長く支持されています
- 内蔵リバーブとトレモロが充実:スプリングリバーブはFenderらしい深みのある残響を出し、真空管トレモロは振動数の遅いクラシックな味わいがあります。外部エフェクターがなくても、アンプ単体で豊かな表現が可能です
- ブレイクアップが美しい:6V6の特性により、ボリュームを上げると自然なオーバードライブが得られやすく、Twin Reverbほどクリーン寄りにならないのが魅力です。Fractal Forum等で「great, chimey tone」「breaks up nicely when pushed」と評価されています
- コンパクトで扱いやすい:1×12コンボというサイズは、スタジオでのマイキングや小〜中規模ライブでの持ち運びに適しており、Twin Reverbのような大型コンボより機動性があると評されます
注意点
- 22Wでも自宅では大音量になりがち:アパートや住宅ではボリュームを絞らざるを得ず、本格的なブレイクアップを味わうには attenuator(減衰器)の使用が検討されます。フォーラムでは「too loud for bedroom」「breakup at 4–5 on the dial is glorious but loud」といった声が散見されます
- ハイゲインには不向き:メタルやハードロックなど、高歪みを主体とするジャンルには適していません。オーバードライブペダルでゲインを足すことは可能ですが、元来はクリーン〜クランチ向けのアンプです
- スピーカー交換でトーンが大きく変わる:リイシューはJensen C-12Kを搭載しますが、ヴィンテージ志向のプレイヤーは Jensen P12R や Weber、Celestion 等への交換でトーンをカスタマイズすることが多く、スピーカーの相性は音作りに大きな影響を与えます
まとめ
Fender Deluxe Reverb ’65 Reissueは、1963年のブラックフェイス時代から「最もレコーディングに使われたアンプのひとつ」として知られる、22Wの真空管コンボアンプです。6V6の甘いブレイクアップ、内蔵のスプリングリバーブと真空管トレモロ、扱いやすい1×12サイズが特徴で、ブルース、ロック、カントリー、インディーなど幅広いジャンルで愛用されています。
「温かく透明なFenderクリーンが欲しい」「自然なブレイクアップでブルースやロックのリードを弾きたい」「スタジオ録音でも通用する定番トーンを手に入れたい」という方には特におすすめです。1993年より継続生産されている’65 Reissueであれば新品で入手可能で、主要なモデリング機器(QUAD CORTEX、Fractal Audio、Kemper、LINE6 HELIX)にも収録されています。まずはモデリングでその世界観を体験し、本物のトーンに興味が湧いたら実機を試してみてください。60年代から続く「スタジオの定番」として、今も多くのプレイヤーを魅了し続けています。







