
コード進行を分析していると、ダイアトニックの7つに含まれないコードが突然出てきて「これなに?」となることがあります。でも耳で聴くと別に違和感がない。むしろいい感じ。
このコードの正体の多くがセカンダリードミナントです。名前は難しそうですが、仕組みは「ツーファイブの応用」です。第11章が分かっていれば、この章はスムーズに入れます。
座学パート:セカンダリードミナントの仕組み
復習:ドミナントが「帰りたがる」理由
キーCにおいて、G7(Ⅴ7)はCに強く解決しようとします。これはGとCのルートが4度の関係にある上に、G7の中にBとFという不安定な音程(トライトーン)が含まれているからです。
この「ドミナント→解決先」の関係は、キーのⅠだけでなく他のコードに対しても作れます。これがセカンダリードミナントの考え方です。
セカンダリードミナントとは
「ある特定のコードのⅤ7として一時的に機能するコード」をセカンダリードミナントといいます。書き方は Ⅴ7/○(○の5度上のドミナント7th)です。
| 表記 | 読み方 | キーCの場合 | 解決先 |
|---|---|---|---|
| Ⅴ7/Ⅱ | ツーのファイブ | A7 | Dm(Ⅱm) |
| Ⅴ7/Ⅲ | スリーのファイブ | B7 | Em(Ⅲm) |
| Ⅴ7/Ⅳ | フォーのファイブ | C7 | F(Ⅳ) |
| Ⅴ7/Ⅴ | ファイブのファイブ | D7 | G(Ⅴ) |
| Ⅴ7/Ⅵ | シックスのファイブ | E7 | Am(Ⅵm) |
たとえばキーCの曲に E7 が出てきたとき、「これはAmへ解決するためのセカンダリードミナント(Ⅴ7/Ⅵ)だ」と読めます。
最頻出:E7 in キーC(またはキーAmの Ⅴ7)
「キーAmなのにEメジャー(またはE7)が出てくる」というのは、ロックで最もよく見るセカンダリードミナントのパターンです。前章でも触れましたが、Am(ⅰ)への解決を強調するためにE7を使うのは、ほぼすべてのマイナーキー曲で見られます。
これは厳密にはハーモニックマイナーのドミナントですが、セカンダリードミナントと同じ理屈で捉えることができます。
セカンダリードミナントの聴こえ方
「なんか急に明るい感じのコードが来た」「ちょっと転調っぽい」「この1コードだけ浮いてる」という感覚がある場合、セカンダリードミナントの可能性が高いです。直後のコードを確認して、「あ、そこに解決してたのか」と分かると正体がつかめます。
セカンダリードミナントを指板で理解する
A7→Dm のセカンダリードミナント(キーC / Ⅴ7/Ⅱ) 2fr 3fr 4fr 5fr 6fr 5弦 A D 4度上(5フレット分)に解決 A7(Ⅴ7/Ⅱ)→ Dm(Ⅱm):ダイアトニック外のA7だが、Dmへの解決で違和感がない
実践パート:セカンダリードミナントを見つけて弾く
所要時間の目安:20〜30分
STEP 1: セカンダリードミナントを含む進行を弾く
以下の進行をギターで弾きます。
キーC:C → A7 → Dm → G7 → C
Ⅰ Ⅴ7/Ⅱ Ⅱm Ⅴ7 Ⅰ
A7のところで「少し色が変わる感じ」「でも違和感ではない」という感覚を確認します。A7のあとDmに解決する流れが「なるほど」と感じられれば成功です。
STEP 2: 有名曲でセカンダリードミナントを探す
知っている曲で「あれ、このコードダイアトニックじゃないな?」と感じたら、そのコードの次のコードを確認します。次のコードへ4度進行しているならセカンダリードミナントです。
STEP 3: セカンダリードミナントの上でスケールを試す
A7(Ⅴ7/Ⅱ)の上では、Aミクソリディアン(Dメジャースケールの音)を使うとよく合います。「解決先のキーのスケール」を使う、という考え方です。深入りはしなくていいですが、「コードが変わるとスケールも変わる」感覚を体験しておくと次章(モード)がスムーズです。
チェックポイント
「セカンダリードミナントの解決感が体感できた」「自分の知っている曲で1つ見つけられた」なら次に進みましょう。
よくある誤解
「ダイアトニック外のコードは全部セカンダリードミナント」
違います。ロック/メタルには♭Ⅶや♭Ⅵのようなモーダルインターチェンジ(同主調からの借用)のコードもよく出てきます。セカンダリードミナントは「ドミナント7th(メジャーコード+♭7)で、直後に4度上のコードへ解決するもの」と判断します。これ以外はまた別の説明が必要です。
「E7はキーCではなくキーAmの話では?」
AmはキーCの平行調なので、E7はキーAm文脈でのⅤ7(主ドミナント)、キーC文脈ではⅤ7/Ⅵm(セカンダリードミナント)と、2通りの読み方ができます。どちらかが「正解」ではなく、曲の流れからどちらが自然かを判断します。
次章への接続
セカンダリードミナントで「一時的に別のキーのドミナントを借りる」感覚を掴みました。次章のモードはさらに踏み込んで、「ある音から始めると、メジャースケールとは違う色になる」という話です。モードはフリジアン(メタル定番)やドリアン(ブルースロック定番)で実際に音を出しながら体感するのが一番早いです。
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