Xotic RC Boosterとは?名機サクッと解説

「歪ませるためのペダルじゃないのに、踏みっぱなしにしたくなる」――そんな不思議な立ち位置のブースターが、Xotic RC Boosterです。RC Boosterはクリーンブースト(音色をなるべく変えずに音量や前に出る感じだけを足すエフェクト)に2バンドのアクティブEQ(積極的に音域を持ち上げ・削りできるトーン回路)を組み合わせた一台で、ギター本来の音を消さずに「ちょっと良くする」ことに特化しています。透明感のあるブーストと音作りの自由度から、ブルース・ジャズフュージョン・カントリーといったクリーン〜クランチ主体のプレイヤーに長く愛されてきました。

RC Boosterが今も語り継がれる理由をひと言で言うなら、「あまりに自然すぎて、つないでいることを忘れる透明さ」です。ソロでひと踏みして前に出る、低出力ピックアップを底上げする、後段の歪みペダルを軽く突っつく――どんな使い方をしても元のトーンを壊さないので、多くのプレイヤーが「常時オン」で音を整える土台として使っています。派手な歪みは出ませんが、ボードに一台あると音作り全体の質が一段上がる、まさに縁の下の力持ち的なペダルです。

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Xotic RC Boosterの主な特徴とスペック

項目内容
エフェクトの種類クリーンブースト+2バンドEQ(音色を変えずに音量・前に出る感じを足し、トーンを微調整するエフェクト)。最大+20dB超のブーストが得られ、Gainを上げれば軽いオーバードライブまでカバー
コントロールVolume(最終的な出力音量)、Gain(ブースト・歪みの量)、Treble(高音域のアクティブEQ。±15dBで持ち上げ・カット)、Bass(低音域のアクティブEQ。±15dBで持ち上げ・カット)の4ノブ
電源9V電池(006P)またはDC 9〜18V 外部アダプター(センターネガティブ極性)。18Vを使うとヘッドルーム(歪まずに扱える音量の余裕)が広がり、よりクリーンで張りのある音になる。消費電流は約6mAと少なめ
入出力端子モノラル1系統(インプット・アウトプット各1)
バイパス方式トゥルーバイパス(エフェクターをオフにしたとき、内部回路を完全に迂回して信号を通す方式。オフ時の音質劣化が少ない)
筐体サイズ約60(幅) × 112(奥行) × 50(高さ) mm(一般的なコンパクトサイズ。約2.38 × 4.39 × 1.98インチ)
重量約270g(0.6ポンド)
製造国 / ブランドXotic(XVIVE Audio傘下のブランド)。アメリカ製(USA / カリフォルニア)
発売年2002年(開発はXoticの佐々木潔氏)。以来20年以上のロングセラーで、現行品としてClassic/V2など複数仕様が継続中

なお、現行のV2(バージョン2)には上記4ノブに加えて、踏み込み時に切り替わるもう一段のゲインを設定する「Gain 2」コントロールが追加されています。本記事は定番の4ノブ構成(オリジナル/Classic相当)を基準に解説します。

Xotic RC Boosterはどんな音がするのか

RC Boosterのサウンドを一言で表すなら「ギターとアンプの素の音を、そのまま一回り良くする透明なブースト」です。歪みペダルというより、音作りの土台を整える「補正レンズ」のような存在だと考えると分かりやすいです。

全体的なキャラクターとして最大の特徴は、その透明感です。Tube Screamer系(Ibanez TS9など)が中音域を盛り上げて独自のキャラを足すのに対し、RC BoosterはEQを12時のフラットにしておけば、ほとんど色付けせずに音量だけを持ち上げます。原音のニュアンスやピックアップの個性をしっかり残すので、「つないでいるのを忘れる」と評されるほどです。

周波数帯域はTrebleとBassのアクティブEQで自在に補正できます。±15dBと効きの幅が広く、持ち上げる方向だけでなく削る方向にも積極的に使えるのが強み。低域が足りないシングルコイルに太さを足したり、こもりがちなアンプの高域を開けさせたりと、「ちょい足し」から「大胆な補正」まで対応します。

ゲイン量・歪みの質感は、基本はクリーン〜ごく軽いクランチの範囲です。Gainを上げていくとザラっとしたマイルドな歪みが乗りますが、ディストーション的な激しい飽和には届きません。あくまで「ブースト+軽い色付け」の領域で、激しく歪ませたい場合はアンプや別の歪みペダルと組み合わせる前提です。

ダイナミクスへの追従性は非常に素直で、ピッキングの強弱やギターのボリューム操作にそのまま反応します。コードを鳴らすと各弦がクリアに分離して聞こえ、潰れた感じが出にくいのも透明系ブーストならでは。Fender系のクリーンアンプにつなぐと、その透明さと音の張りが最も分かりやすく、軽くGainを上げた「艶のあるクリーン〜クランチ」が気持ちよく作れます。歪んだアンプの前に置けば、音色を変えずにゲインと音量だけを足してソロを前に出す、王道のブースター運用がハマります。

Xotic RC Boosterのエピソード

RC Boosterは2002年、Xoticの佐々木潔氏によって開発されました。実は開発当初の本命は、より色付けの強いAC Booster(後述の兄弟機)の方で、RC Boosterはその開発過程から生まれた「より透明なバージョン」だったと語られています。なお「RC」という型番は、多くの人が「Real Clean(リアルクリーン)」の略だと思い込んでいますが、Xotic自身は「Rig Conductor(リグ・コンダクター=機材全体を指揮するもの)」に由来すると説明しています。ボード全体の音をまとめ上げる、という設計思想がそのまま名前に表れているわけです。

このペダルの透明さにいち早く惚れ込んだ一人が、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のジョン・フォガティ(John Fogerty)です。スタジオ関係者から初期型を受け取って以来、ごく初期のモデルを今も使い続けていると伝えられています。また、まだ無名だった2003年頃のブラッド・ペイズリー(Brad Paisley)も「これがすごく気に入った」と語っており、カントリー界での評価を早くから集めていました。

ジャズフュージョン/ブルース方面でも愛用者は多く、テクニカルなアンディ・ティモンズ(Andy Timmons)、ニューヨークのフュージョン・ギタリストオズ・ノイ(Oz Noy)、そしてスコット・ヘンダーソン(Scott Henderson)らが知られています。スコット・ヘンダーソンに至っては、彼と共同設計したシグネチャー仕様「RC Booster SH」が登場するほどの結びつきです。いずれもアンプのクリーン〜クランチを土台にする音作りで、RC Boosterの「素の音を壊さずに底上げする」性格が、彼らの繊細なニュアンス重視のプレイと噛み合っています。

Xotic RC Boosterの使い方と信号チェーンでの位置づけ

信号チェーン(シグナルチェーン: ギターからアンプまでの音の経路)での基本的な位置は、ギター側に近い前段です。コンプレッサーやワウの後、ディレイ・リバーブといった空間系の前に置くのが定番。後段の歪みペダルやアンプを軽く突っつくブースターとして使う場合も、その歪みの「前」に置きます。透明さを活かして「常時オン」で土台に敷き、ボード全体の音を底上げする使い方も人気です。

典型的なセッティング例:

  • 常時オンの音作りベース(最も定番): Gain = 9〜11時(薄め)、Volume = 12時前後、Treble・Bass = 12時を基準に微調整。音色をほぼ変えずに張りと音量の余裕を足し、ボード全体の土台にする。
  • ソロ用クリーンブースト: Gain = 9時前後(歪みは足さない)、Volume = 1〜3時(原音より大きめ)。バッキングからソロへ踏んで一段前に出す。EQはほぼフラットのまま。
  • 単体クランチ用途: Gain = 12〜2時、Volume = 12時前後、Trebleで抜けを、Bassで太さを調整。クリーンアンプにつないで艶のある軽い歪みを作る。
  • アンプ/歪みペダルのブースト: Gain = 低め、Volume = 高め。歪んでいるアンプやペダルの前に置き、音色を変えずにゲインと音量を足す。

アンプとの組み合わせでは、Fender系のクリーンアンプとの相性が王道です。透明なブーストとアクティブEQで、クリーンに艶と張りを足したり、軽いクランチを作ったりと自在。歪んだMarshall系やハイゲインアンプの前に置いてブースターにすると、TS系のように中域を強調しないぶん「もとの歪みの質感を保ったまま」前に出してくれます。色付けを嫌うプレイヤーには、この透明さが大きな武器になります。

重ね使いでは、同じXoticのBB Preamp(より歪む相棒)と組み合わせ、RCで土台を整えつつBBで歪みを足す王道コンビが知られています。また低出力のヴィンテージ系ピックアップを使う場合、RC Boosterを薄くかけて出力を底上げしておくと、後段のペダルやアンプの反応が良くなります。

Xotic RC Boosterと相性の良い機材

相性の良いギターアンプ

アンプ出力 / 特徴RC Boosterとの組み合わせが人気な理由
Fender系クリーンアンプ(Twin Reverb / Deluxe Reverb等)22〜85W / 抜けの良いクリーンRC Boosterの透明さとアクティブEQが最も活きる相手。クリーンに艶と張りを足したり、Gainを上げて軽いクランチを作ったりと自在。ブルース・カントリー系の定番
Marshall系(歪みチャンネル)50〜100W / ブリティッシュな中域と歪み中域を盛り上げずに音量とゲインだけ足せるブースターとして人気。もとの歪みの質感を保ったままソロを前に出せる
Mesa/Boogie系ハイゲインアンプ50〜100W級 / モダンなハイゲインフォーラムでも歪みペダル代わりの軽いプッシュとして言及される。色付けの少ないブーストでアンプの素のキャラを崩さない

相性の良いエフェクター

エフェクター役割この組み合わせが定番な理由
Xotic BB Preamp歪みを足す相棒同ブランドの定番コンビ。RCで土台を整え、BBでしっかりした歪みを足す。透明系ブースト+歪みの役割分担が明確
Xotic EP Boosterもう一段のクリーンブーストEPで全体の音圧と艶を足し、RCでEQ補正と追加ブーストを担う。クリーン重視のボードで重ねて使う例が多い
コンプレッサー(Xotic SP Compressor等)ダイナミクスを揃えるコンプ → RC の順で、整えた信号を透明にブースト。クリーン〜クランチの粒立ちが安定する
ディレイ・リバーブ空間的な広がりを足すRC → 空間系 の順が基本。音作りの土台を整えた後段で広げると音像が濁らない

Xotic RC Boosterの兄弟機・派生機

モデル位置づけRC Boosterとの違い
AC Booster兄弟機RCと対になる存在。RCがより透明・クリーン寄りなのに対し、ACはより歪み・色付けが強くオーバードライブ寄り。開発上はACが本命だった
RC Booster Classic現行の標準仕様オリジナルの4ノブ構成を踏襲した定番版。透明なブースト+2バンドEQという基本性格はそのまま
RC Booster V2現行の発展版4ノブに加え、踏み込みで切り替わる2段目のゲインを設定する「Gain 2」を搭載。1台で2種類のブースト量を使い分けられる
RC Booster SH(Scott Henderson)シグネチャー版スコット・ヘンダーソンと共同設計したモデル。彼の好みに合わせてゲイン幅やトーンが調整されている
Bass RC Boosterベース版ベース用に最適化したRC Booster。低域の扱いやEQ設計がベース向けにチューニングされている

Xotic RC Boosterのモデリング・シミュレーション

エフェクターのモデリングとは、実機の回路や音響特性をデジタル技術で再現したもので、実機を用意しなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。RC Boosterのような定番ブースターは、各社のマルチエフェクター/アンプシミュレーターに収録されていることがあります。なお各社は商標上の理由から、実機名をもじった独自のモデル名を付けるのが一般的です。

Xotic RC BoosterのQUAD CORTEXにおけるモデリング

種別モデル名元となった実機
EffectExotic Z BoostXotic RC Booster

QUAD CORTEXのGuitar effectsセクションには、RC Boosterを再現したモデルが「Exotic Z Boost」として収録されています。Neural DSPの公式デバイスリスト上でも、元となった実機がXotic RC Boosterであることが明記されています。実機同様の透明なクリーンブーストと2バンドEQによる音作りが可能です。

Xotic RC BoosterのFractal Audio Systemsにおけるモデリング

種別モデル名元となった実機
EffectEsoteric RCBXotic RC Booster

Fractal Audio機器(Axe-FX、FM9、FM3等)のDriveブロックには、RC Boosterをモデリングした「Esoteric RCB」が収録されています。Fractal Audioフォーラムでも実機RC Boosterベースであることが明示されており、Drive(ゲイン)・Level(音量)・Bass・Trebleのコントロールを備え、トーンは±15dB幅で持ち上げ・カットできるアクティブEQとして再現されています(ちなみに兄弟機AC Boosterは「Esoteric ACB」として別途収録)。

Xotic RC BoosterのLINE6 HELIXにおけるモデリング

種別モデル名元となった実機
Effect現行ラインナップには収録されていません

LINE6 HELIXの公式エフェクトモデルリストを確認した範囲では、RC Boosterをベースにしたモデルは現行ラインナップには収録されていません。なお同ブランドの別のブースターであるXotic EP Boosterは「Kinky Boost」という名称で収録されていますが、これはRC Boosterとは別の実機をベースにしたモデルです。

Xotic RC BoosterのKemperにおけるモデリング

種別モデル名元となった実機
EffectKemperのストンプエフェクトには収録されていません

Kemperのストンプエフェクトには、RC Boosterを直接モデリングしたものは収録されていません。Kemper公式フォーラムを確認しても、RC Boosterを名指しで再現したストンプは見当たらず、OS 8.0以降の統合型オーバードライブ「Kemper Drive」の参照元リストにもRC Boosterは含まれていません。透明なブーストが欲しい場合は、Kemper内蔵のクリーンブーストやEQ系ストンプで近い役割を代用することになります。

Xotic RC Boosterの使用アーティスト

海外のアーティスト

アーティスト音楽スタイル使用・補足
John Fogertyルーツロック(CCR)初期型をいち早く入手し、ごく初期のモデルを今も使い続けていると伝えられる
Brad Paisleyカントリー無名だった2003年頃から愛用を公言。カントリー界でのRC Booster普及の象徴的存在
Brent Masonカントリー(ナッシュビルの名セッションマン)シグナルチェーンにRC Boosterを組み込み、クリーン主体のトーン作りに使用
Andy Timmonsインストゥルメンタルロック / フュージョンXotic愛用者として知られ、RC Boosterの代表的ユーザーに挙げられる
Oz NoyジャズフュージョンNYのフュージョン・ギタリスト。透明なブーストを土台にした音作りで使用
Scott Hendersonジャズフュージョン / ブルース共同設計のシグネチャー版「RC Booster SH」が存在するほどの結びつき

日本のアーティスト

現時点で信頼できる情報源からの裏付けが取れていないため記載を省略します。

Xotic RC Boosterの特徴と注意点

特徴

  • つないでいるのを忘れるほどの透明さ:原音のニュアンスやピックアップの個性を消さずに音量・張りを足せる。「常時オンにしっぱなしにできる」という声がレビューで繰り返し挙がる最大の魅力。
  • ±15dBのアクティブ2バンドEQによる音作りの自由度:持ち上げだけでなく削る方向にも効くため、こもりや低域不足の補正まで一台でこなせる。単なるブースターを超えた「音整え機」として評価される。
  • 後段との相性を選ばないブースター適性:中域を強調しないので、アンプや歪みペダルの前に置いても元の歪みの質感を崩しにくい。色付けを嫌うプレイヤーから支持が厚い。
  • 9〜18V対応によるヘッドルームの可変:18V駆動で歪まずに扱える音量の余裕が広がり、よりクリーンで張りのある音になる。電源で性格を微調整できる柔軟さがマニアに好まれる。

注意点

  • 派手な歪みは出ない:あくまでクリーンブースト+軽いクランチが守備範囲で、Gainを上げてもディストーション的な飽和には届かない。歪みペダルとして期待すると物足りなく感じる。
  • 透明ゆえに「劇的な変化」は感じにくい:効果が自然なぶん、踏んだ瞬間のインパクトを求める人には地味に映ることがある。良さが分かるまで使い込みが要る、という声もある。
  • 価格はブースターとしては高め:定番の安価なブースト系と比べると値が張る。透明さとEQの自由度に価値を感じられるかで評価が分かれる。
  • EQの効きが強く、追い込みに慣れが要る:±15dBとレンジが広いぶん、回しすぎると音が大きく変わる。フラット(12時)を基準に少しずつ動かすのがコツ。

まとめ

Xotic RC Boosterは、「つないでいるのを忘れる透明さ」「±15dBのアクティブ2バンドEQによる音作りの自由度」「後段を選ばないブースター適性」がそろった、クリーン〜クランチ派のための名ブースターです。激しい歪みは出ませんが、ギターとアンプの素の音を壊さずに一回り良くしてくれる土台として、ボードに一台あると音作り全体の底が上がります。

こんな演奏をしたい方に特におすすめです。

  • Fender系クリーンアンプで、艶と張りのあるクリーン〜軽いクランチを作りたい方
  • 音色を変えずに音量だけ前に出す、透明なソロブーストが欲しい方
  • 色付けの少ないブースターでアンプや歪みペダルを軽くプッシュしたい方(ブルース・ジャズフュージョン・カントリー系)
  • 常時オンで踏みっぱなしにできる「音作りの土台」を一台探している方

派手さで売るペダルではありませんが、一度ボードに敷くと外せなくなる「効いているのに気づかない」タイプの一台です。ジョン・フォガティが初期型を今も手放さない理由を、ぜひ自分の耳で確かめてみてください。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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