Xotic BB Preamp|ギター用オーバードライブペダルの名機を解説

Xotic BB Preamp オーバードライブ

Xotic BB Preampは、最大+30dBのブーストと2バンドEQを備えた、ブースター寄りのオーバードライブペダルです。2005年に登場し、現行品として販売が続いています。

「ブースターとオーバードライブ、結局どっちを買えばいいの?」と迷ったことがある方に、まず触ってほしいのがXotic BB Preamp(エキゾチック ビービー プリアンプ)です。BB Preampはオーバードライブ(真空管アンプが自然に歪んだような温かみのある歪み)に分類されますが、その実態は「ゲインを絞ればクリーンブースト、上げればしっかりした歪み」まで1台でこなす、ブースター寄りのプリアンプ的ドライブです。

最大+30dBという大きなブースト量、ローノイズで広いゲインレンジ、そしてコンパクトながらTreble/Bassの2バンドEQを積んでいるのが個性です。クリーンアンプに上品な太さを足したいブルース/ポップス系から、歪みアンプを押してリードを前に出したいロック系まで幅広く対応します。アンディ・ティモンズの歌うようなリードトーンの相棒として知られ、「迷ったら間違いない一台」としてプロのペダルボードに居座り続けている、まさに定番ブティックペダルです。

名機サクッと解説

「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。

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主な特徴とスペック

スペック面の要点は、最大+30dBのブースト量と、Treble/Bassのアクティブ2バンドEQを積んだ4ノブ構成です。

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エフェクトの種類オーバードライブ/ブースター(プリアンプ的ドライブ)
コントロールVolume・Gain・Treble・Bassの4ノブ
ブースト量最大+30dB
電源9V〜18V DC(センターマイナス)/9Vバッテリー可
入出力端子モノラル(インプット・アウトプット各1)
バイパス方式トゥルーバイパス
筐体サイズ約110(奥行) × 60(幅) × 50(高さ) mm
重量約270g
製造国 / ブランドXotic(米国ロサンゼルス拠点・製造はUSA)
発売年2005年(現行品)

回路はTube Screamer系をベースにしつつ、独自の2バンドEQを加えた設計です。Volume(出力レベル)、Gain(歪みの量)、Treble(高音域の増減)、Bass(低音域の増減)の4ノブを備え、Treble/BassはアクティブEQで±15dBのブースト/カットができます。

Gainを絞った状態でも大きな音量を稼げるため、クリーンブースト用途でも十分なヘッドルームがあります。電源は9V〜18V DC対応で、9Vバッテリー収納部もあります。消費電流は9V時8mA、18V時11mAと省電力で、電圧を18Vにするとヘッドルームが広がり、より引き締まった音になります。

入出力端子はモノラル1系統で、ACアダプター用ジャックは筐体上部にマウントされています。バイパス方式のトゥルーバイパスとは、エフェクターをオフにしたとき内部回路を完全に迂回して信号を通す方式で、音質の劣化が少なく、オフ時の原音をそのまま残せます。筐体サイズは標準的なコンパクトペダルサイズです。

Xoticは米国カリフォルニア州ロサンゼルス拠点のブランドで、製造はUSAです。2005年に登場して以降ロングセラーとして生産が続いており、V1.5などの改良版もあります。

どんな音がするのか

BB Preampのサウンドを一言で表すなら「上品でハリのある、芯の太いドライブ」です。

全体的なキャラクターとして、同じくTube Screamer系をルーツに持つIbanez TS9などと比べると、ノイズが少なくゲインレンジが広いのが大きな違いです。TS9が中音域をグッと持ち上げる(ミッドハンプ)のに対し、BB Preampは2バンドEQで低域・高域を自分で足し引きできるため、こもらず開けた、レンジの広いトーンを作りやすいのが持ち味です。コンプ感(音の粒がそろって滑らかになる感覚)は適度にあり、弾いていて気持ちのいいサスティンが得られます。

歪みの質感とゲイン量は、Gainをゼロ付近にすればほぼ歪まないクリーンブースト、12時あたりで軽いクランチ、フルにすればロックのバッキングをこなせるしっかりした歪みまで到達します。激しいハイゲインメタルの飽和した歪みまでは届きませんが、「クリーン〜中程度の歪み」のレンジを1台で滑らかにカバーできるのが強みです。

周波数帯域はTreble/BassのアクティブEQが効きます。Bassを上げれば芯のある太さが、Trebleを上げればキラッとした抜けが出ます。±15dBと変化幅が大きいので、合わせるアンプやギターに応じて積極的に追い込めます。

ダイナミクスへの追従性も優秀で、ピッキングの強弱がそのままニュアンスに出ます。ギターのボリュームを絞るとスッとクリーン寄りになり、上げれば歪みが戻るという反応の素直さは、プリアンプ的ドライブならではの心地よさです。Fender系のクリーンアンプにつなぐと、その「上品に太らせる」キャラクターが特に分かりやすく感じられます。

開発と使用のエピソード

BB Preampは2005年に登場し、ブティックペダル(少量生産の高品位なペダル)ブームのなかで一気に評価を高めた一台です。Xoticはカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするブランドで、RC Booster(クリーンブースター)やAC Booster(オーバードライブ)といった「Booster三兄弟」的なラインで知られていますが、なかでもBB Preampは「ブースト+ドライブの万能機」として最も広く支持されました。

このペダルを語るうえで欠かせないのがアンディ・ティモンズ(Andy Timmons)です。テクニカルかつ歌心あふれるインストゥルメンタル・ロックで知られる彼にとって、BB Preampは長年ペダルボードに居続ける定番オーバードライブで、あの伸びやかでメロディアスなリードトーンの核を担ってきました。両者の結びつきは深く、2017年にはXoticからAndy Timmonsシグネチャー仕様のBB Preamp(オリジナル回路を再現した限定モデル)が発表されています。

ジャンルを問わず使われているのもBB Preampの特徴で、ブラックメタルバンドBehemothのネルガル(Nergal)のように、ヘヴィな音楽性のギタリストの機材にも名を連ねています。クリーンブーストからしっかりした歪みまでこなす守備範囲の広さが、こうした幅広い使い手を生んでいると言えます。

使い方と信号チェーンでの位置づけ

信号チェーン(シグナルチェーン: ギターからアンプまでの音の経路)での基本的な位置は、ギター側の前段です。コンプレッサーやワウの後、ディレイ・リバーブといった空間系の前に置くのが定番です。歪みアンプをブーストする場合はアンプのインプットに直接つなぎます。

典型的なセッティング例:

  • クリーンブースト用途: Gain = 0〜9時、Volume = 1〜3時、Treble/Bass = 12時。歪みはほぼ足さず、音量と前に出る感じだけを稼ぎます。ソロで踏むブースターとして使います。
  • 単体オーバードライブ用途: Gain = 12〜3時、Volume = 12時前後、Bass = 1時・Treble = 12時。クリーンアンプにつないで上品なクランチ〜ロックトーンを作ります。
  • アンプブースター用途: Gain = 9〜11時(低め)、Volume = 1〜3時(高め)。歪んでいるアンプの前に置き、リードをタイトに前へ押し出します。

アンプとの組み合わせでは、Fender系のクリーンアンプに単体でつなぎ、2バンドEQで太さと抜けを整える使い方が王道です。Marshall系の歪みチャンネルをブーストする場合は、Bassを足しすぎると低域がもたつきやすいので、Bassは控えめにしてVolumeで押すとタイトにまとまります。18V電源で駆動するとヘッドルームが広がり、さらに引き締まった音になります。

重ね使いでは、Xotic RC Boosterのようなクリーンブースターを後段に置いてソロでさらに音量を稼ぐパターンや、BB Preampを軽めにかけたうえで別のオーバードライブを重ねる「ゲインスタッキング(歪みの段重ね)」も定番です。

相性の良い機材

相性の良いギターアンプ

  • Fender Twin Reverb / Deluxe Reverb:22〜85Wでクリーンかつ中域が控えめなアンプです。BB Preampを単体ドライブとして使う相手として定番で、2バンドEQで太さと抜けを足し、上品なクランチが作れます。
  • Marshall系(JCM800など):50〜100Wで、ブリティッシュな中域と歪みが持ち味のアンプです。歪みチャンネルの前段に置いてリードをブーストでき、ミッドが過剰に膨らまないため飽和しにくく、タイトに前へ出せます。
  • Vox AC30系:30Wで、チャイミーで煌びやかな中高域が特徴のアンプです。BB Preampの広いレンジとアクティブEQが、AC30の煌びやかさを生かしつつ芯を足す方向に働きます。

相性の良いエフェクター

  • Xotic RC Booster:クリーンブーストの役割を担う、同ブランドの相棒的存在です。BB Preampの後段に置いてソロで音量だけを底上げする使い方が人気があります。
  • コンプレッサー(Xotic SP Compressor等):ダイナミクスを揃える役割で、コンプ → BB Preamp の順で整えた信号を押せます。リードの粒立ちとサスティンが安定します。
  • ディレイ・リバーブ:空間的な広がりを足す役割で、BB Preamp → 空間系 の順が基本です。歪みを作った後段で広げることで音像が濁りません。

兄弟機・派生機

BB Preamp MB

中域ブースト搭載版です。標準の4ノブに加えてMB(ミッドブースト)コントロールを内部または外部に備え、中域を持ち上げてさらに前に出せます。ソロ向きの押し出しが強いモデルです。

BB Plus Preamp

2チャンネル版にあたる上位機です。BBチャンネルに加えて独立したブーストチャンネルを搭載し、ブースト+ドライブを1台で切り替え・併用できます。

Bass BB Preamp

ベース用のバージョンです。ベース向けに帯域とレンジを最適化しており、原音を生かしつつブースト/オーバードライブを足せます。

BB Preamp Andy Timmons(2017年)

シグネチャー限定版です。2005年のオリジナル回路を再現した限定モデルで、アンディ・ティモンズ仕様の外装をまとっています。

AC Booster / RC Booster

兄弟ブースターにあたり、厳密な派生ではないものの同シリーズの仲間です。AC Boosterはより歪み寄り、RC Boosterはクリーンブースト寄りという住み分けになっています。

モデリング・シミュレーション

エフェクターのモデリングとは、実機の回路や音響特性をデジタル技術で再現したもので、実機を用意しなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。BB Preampはブティックドライブの定番として、一部のモデラーに収録されています。一方で、各社が必ず収録しているわけではない点には注意が必要です。

QUAD CORTEX における収録

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種別モデル名元となった実機
EffectExotic BBXotic Effects BB Preamp

QUAD CORTEX(Neural DSP)のGuitar effectsセクションには、BB Preampを再現したモデルが「Exotic BB」として収録されています。商標上の理由から「Exotic」というもじり名称が使われていますが、実機同様のクリーンブースト〜オーバードライブが得られます。

Fractal Audio Systems における収録

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種別モデル名元となった実機
EffectBB PreXotic Effects BB Preamp

Fractal Audio機器(Axe-FX、FM9、FM3等)のDriveブロックには、BB Preampをモデリングした「BB Pre」が収録されています。Fractal AudioのドライブモデルガイドおよびFractal Audioフォーラムでも、Xotic BB Preampベースであることが明示されています。

LINE6 HELIX における収録

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種別モデル名元となった実機
Effect現行ラインナップには収録されていません―

LINE6 HELIXのドライブ/ディストーション・モデルには、Xotic BB Preampをベースにしたモデルは現行ラインナップに収録されていません。HELIXにはXotic系のモデルとして「Kinky Boost」がありますが、これはXotic EP Booster(テープエコーのプリアンプを模したブースター)がベースであり、BB Preampとは別物です。混同しないよう注意してください。

Kemper における収録

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種別モデル名元となった実機
EffectKemperのストンプエフェクトには収録されていません―

Kemperのストンプエフェクトには、Xotic BB Preampを直接モデリングしたものは収録されていません。旧来から収録されている「Green Scream」はIbanez Tube Screamer TS-808(Maxon OD808)を直接モデリングしたもので、BB PreampがTS系の回路をルーツに持つとはいえ、BB Preampそのものではありません。また、OS 8.0以降の統合型オーバードライブ「Kemper Drive」が参考にしたペダル群(TS808・TS9・Klon Centaur・Boss OD-1/SD-1・Timmy・Marshall Bluesbreaker MK1等)にも、Xotic BB Preampは含まれていません。

使用アーティスト

海外のアーティスト

  • Andy Timmons/インストゥルメンタル・ロック:BB Preampの代表的な使い手で、歌うようなリードトーンの核として長年愛用しています。2017年にシグネチャー限定モデルも発表されました。
  • Nergal(Behemoth)/ブラックメタル、デスメタル:使用機材としてBB Preampが挙げられています。ヘヴィな音楽性のギタリストにも使われている一例です。

よくある疑問

BB Preamp MBやBB Plus Preampとはどう違いますか?

MBは中域を持ち上げるMBコントロールを足した版で、BB Plus Preampは独立したブーストチャンネルを加えた2チャンネル版です。標準のBB Preampは4ノブのシンプルな構成で、ブースト+ドライブを1台でこなします。ソロでの押し出しを強めたいならMB、ブーストとドライブを切り替え・併用したいならBB Plus Preampが選択肢になります。

QUAD CORTEXがあれば実機は不要ですか?

モデリングで試すだけなら足ります。QUAD CORTEXにはBB Preampを再現した「Exotic BB」が収録されており、実機同様のクリーンブースト〜オーバードライブが得られます。ただしLINE6 HELIXの現行ラインナップとKemperのストンプエフェクトには、BB Preampを直接モデリングしたものは収録されていません。

ユーザーの評価と注意点

評価されている点

  • クリーンブーストから歪みまで1台でこなす守備範囲の広さ:Gainを絞れば最大+30dBのクリーンブースト、上げればしっかりしたオーバードライブと、役割を切り替えやすいのが魅力です。「これ1台でブーストもドライブも済む」という声が多く見られます。
  • コンパクトながら2バンドのアクティブEQを搭載:Treble/Bassが±15dBと変化幅が大きく、合わせるアンプやギターに応じて積極的に音作りできます。TS系の固定的なEQに物足りなさを感じる人に評価されています。
  • ローノイズで広いゲインレンジ:ゲインを上げてもノイズが乗りにくく、クリーン寄りから歪みまで滑らかにつながります。プリアンプ的に常時オンで使うユーザーも多く見られます。
  • 上品で芯のあるトーン:適度なコンプ感と太さがあり、「クリーンアンプが一段グレードアップする」と感じるという声が定番です。歌うようなサスティンがリードに向いています。

注意点

  • 現代的なハイゲインメタルには届かない:あくまでオーバードライブ/ブースターであり、BB Preamp単体で激しく飽和した歪みは作れません。ハイゲインを狙うならアンプやほかの歪みとの併用が前提になります。
  • TS系をルーツに持つため、唯一無二の個性ではないという見方もある:回路の出自がTube Screamer系のため、「TS系の上質な発展形」と捉えるユーザーもいます。明確に異質なキャラを求める人には穏当に聞こえることがあります。
  • 2バンドEQゆえに音作りの自由度が高い反面、追い込みが必要:EQの効きが大きいぶん、Bassを上げすぎると低域がもたつくなど、ノブを煮詰める手間がかかります。踏めば即決まるタイプではありません。
  • ブティック価格帯:定番の安価なオーバードライブと比べると価格は高めです。コストパフォーマンス重視で最初の1台を探す人には割高に映ることがあります。

まとめ

Xotic BB Preampは、「最大+30dBのクリーンブースト」「2バンドのアクティブEQ」「ローノイズで広いゲインレンジ」を兼ね備えた、ブースト+ドライブの万能機です。クリーンアンプを上品に太らせるドライブとしても、歪みアンプを押すブースターとしても水準以上にこなし、2005年の登場以来プロのペダルボードに居続けている事実がその信頼性を物語っています。

こんな演奏をしたい方に特におすすめです。

  • クリーンアンプに上品な太さとサスティンを足して、歌うようなリードを弾きたい方(アンディ・ティモンズ系のトーンが好きな方)
  • ブースターとオーバードライブを1台で兼ねたい方
  • TS系をベースにしつつ、2バンドEQでもっと自由に音作りしたい方
  • ローノイズで質の高い、長く使えるブティックドライブを探している方

派手に歪ませる一台ではありませんが、ボードに置いておくと「踏めば音がワンランク上がる」安心感があります。ブースターか歪みかで迷っているなら、その両方をカバーできるBB Preampを、ぜひ自分の足で確かめてみてください。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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