ギターで学ぶ度数

スケールを覚えた人がよく言うのが「Cメジャースケールは弾けるけど、Dメジャーになった途端に弾けなくなる」というものです。自分もそうでした。キーが変わるたびにゼロから覚え直しているような感覚があって、いつまでたっても全体が繋がりませんでした。

その詰まりの原因は「音名で覚えていた」ことでした。C・D・E・F・G・A・B という音名で覚えると、キーが変われば音名も全部変わります。12キー分を丸暗記しないといけなくなります。

度数(インターバルとも言います)という考え方はこの問題を解決します。一度理解すると「1つ覚えれば全12キーに対応できる」ようになります。理論の地図を広げる前に、まずこの翻訳道具を手に入れます。


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座学パート:度数とは何か

音名の問題

音名でスケールを覚えるとこうなります:

  • Cメジャースケール: C – D – E – F – G – A – B
  • Gメジャースケール: G – A – B – C – D – E – F#
  • Dメジャースケール: D – E – F# – G – A – B – C#

音名は変わっても、スケールの「構造」は完全に同じです。でも音名で覚えていると、毎回別物のように見えてしまいます。

度数で考えると1パターンになる

度数は「ルート音を1として、何番目の音か」で表す方法です。メジャースケールはどのキーでも必ず:

1 – 2 – 3 – 4 – 5 – 6 – 7

この構造は変わりません。CメジャーだろうとGメジャーだろうと「1から7まで」であることは同じです。違うのは1(ルート)がどこにあるかだけです。

半音と全音

ギターでは「半音 = 1フレット」「全音 = 2フレット」と理解できます。メジャースケールは以下の半音・全音のパターンで構成されます:

度数12345671(8va)
音程R234567R
fret0+2+2+2+2+1+1+2+2+2+2+2+2+1+1

「全・全・半・全・全・全・半」というパターンを覚えておくと、どの音から始めてもメジャースケールを作れます。

マイナースケールとの比較

マイナースケールはメジャースケールと同じ7音を使いますが、3度・6度・7度が半音低く(♭がつく)なっています。

スケール1234567
メジャー1234567
マイナー12♭345♭6♭7

「マイナーは3番目・6番目・7番目が半音低い」——これだけ覚えれば、メジャースケールからマイナースケールをどのキーでも導けるようになります。

♭付きの度数の読み方

♭(フラット)がついた度数は「その度数から半音低い(=フレット1個分ネック側に戻る)」という意味です。

表記読み方具体例(Aルート・5フレット基準)
♭3フラット3(短3度)Aから見てC(7フレットではなく8フレット)
♭5フラット5(減5度)Aから見てE♭(11フレットではなく11フレット手前)
♭7フラット7(短7度)Aから見てG(メジャーの7度G#の1フレット下)

♯(シャープ)がついた度数は逆に「半音高い」です。♯4は普通の4度から1フレット上がった音になります。

度数で考えるメリット

度数で考えるメリットは「パターンの再利用」です。たとえば「1・♭3・5・♭7」という度数の組み合わせは「マイナー7thコード」を表します。これをAで覚えたら、そのパターンのままBやDに移動すれば Bm7 や Dm7 になります。音名を覚え直す必要はありません。

本シリーズ以降、スケールもコードも「度数表記」で説明します。最初は慣れないかもしれませんが、慣れると一気に景色が変わります。


実践パート:度数を口で言いながら弾く

所要時間の目安:15〜20分

STEP 1: Aメジャースケール

6弦5フレット(A音)を起点にします。この音が「1(ルート)」です。「全・全・半・全・全・全・半」のパターンに沿って、1弦方向に上っていきながら度数を口で言います。

指板上の各音を弾きながら「イチ・ニ・サン・ヨン・ゴ・ロク・ナナ・イチ」と言います。音名(A・B・C#…)は今は意識しなくていいです。

STEP 2: Aマイナースケール

同じく6弦5フレット(A=ルート)から始めます。今度は「全・半・全・全・半・全・全」のパターン(マイナーの間隔)で上っていきます。3番目・6番目・7番目の音が1フレット下がるはずです。

弾きながら「イチ・ニ・フラット3・ヨン・ゴ・フラット6・フラット7・イチ」と言います。

STEP 3: 違いを体で感じる

同じルートから始めて、メジャーとマイナーを交互に弾きます。この「3番目の音が1フレット違うだけで明暗が変わる」感覚を体で掴んでください。これがメジャーとマイナーの正体です。

チェックポイント

「度数を口で言いながら両スケールを上下できる」なら次章に進んでください。音名は意識しなくていいです。まず「番号で音の位置を感じる」ことが最初のゴールです。


よくある誤解

「度数はジャズやクラシックの人が使うもの」

全くそんなことはありません。「Ⅴ→Ⅰの進行」「♭7のコード」「♭3をチョーキングで♮3に上げる」——これらはすべてロックやメタルのギタリストが毎日やっていることです。度数はジャズ専用の道具ではありません。

「度数で考えると頭の回転が遅くなる」

最初はそう感じます。でも慣れれば音名より速く処理できるようになります。「キーがDに変わった」と言われた時、音名ベースで考えると「D・E・F#・G・A・B・C#…」と全部思い浮かべ直す必要があります。度数ベースなら「ルートを変えるだけ、パターンは同じ」で済みます。

「♭3と短3度は別物?」

同じものを指す言葉です。「短3度」はクラシック系の音楽理論の呼び方、「♭3」はポピュラー理論での呼び方です。本シリーズでは「♭3」の表記で統一します。


次章への接続

度数が使えるようになると、次の疑問が出てきます。「スケールがあって、コードがあって——この2つはどう繋がっているの?」です。コードはコード表で、スケールはスケール本で、別々に覚えてきた人ほどここの繋ぎが見えていません。

第4章では「スケールとコードの関係」を整理します。スケールの音を「1個おき」に重ねるだけでコードができる——この仕組みが分かると、後の章で扱う「キー」「コード進行」「アドリブ」全部の土台ができあがります。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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