Marshall Silver Jubilee(2555)|ギター用アンプの名機を解説

Marshall Silver Jubilee(2555) アンプ

Marshall Silver Jubilee(2555)は、1987年にMarshall社が創業25周年を記念して発売した、クリーン・リズム・リードの3モードを持つ真空管のギターアンプヘッドです。JCM800系の回路をベースに、マスターボリュームで小音量でも歪みが得やすい設計になっています。

Marshall Silver Jubilee(2555)は、1987年にイギリス・Marshall社が発売した、同社25周年と創業者Jim Marshallの音楽業界50年を祝う記念モデルのギターアンプヘッドです。型番「2555」は25周年と50年を表し、JCM800(2203/2204)系の回路をベースに、クリーン・リズム・リードの3モードを持つプリアンプを搭載した設計です。マスターボリューム付きで小音量でも歪みが得やすく、従来のJCM800より低域がタイトでゲインが多め、エフェクターにもよく反応します。ブルースロック、ハードロック、クラシックロックから80年代スタイルのロックまで幅広く対応し、Slashが1987年以降のツアーで愛用したことで「Appetite for Destruction期のサウンド」と結びつけて語られることも多いアンプです。一言で表すなら、「JCM800を進化させた、マスターボリューム付きで使いやすく、クリーンからリードまでこなす万能型Marshall」——限定生産ゆえの希少性と、Slashの使用により伝説化したアンプです。

名機サクッと解説

「よく見るけど詳しいこと知らないなぁ…」
そんな名機を端的に知って、より楽しむための試みです。

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主な特徴とスペック

スペック面の要点は、100W出力のEL34×4パワー部と、Clean/Rhythm Clip/Leadの3モード構成です。

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メーカーMarshall(イギリス)
製造期間1987年〜1989年頃(オリジナル)
出力100W RMS(50Wへ切替可)
パワー管EL34×4
プリ管ECC83(12AX7)×3
チャンネル数3モード(Clean/Rhythm Clip/Lead)
コントロールGain、Bass、Middle、Treble、Presence、Master
スピーカー出力4Ω/8Ω/16Ω切替(オリジナル)
外観シルバービニールとクロームメタルパネル
形状ヘッドアンプ(キャビネット別売り)

製造期間は1987年〜1989年頃のオリジナルで、2015年以降は2555X Vintage Reissueが継続生産されています。パワー管のEL34は英国製アンプに多く使われる真空管で、ミッドレンジが豊かでブリティッシュな音色が特徴です。プリ管のECC83は12AX7とも呼ばれるプリアンプ用の真空管です。Rhythm Clipはプルノブでクリッピングモードをオンにでき、Leadはフットスイッチで切り替えられます。各チャンネルのボリュームとマスターボリュームにより、小音量でも歪みが得られます。スピーカー出力は、オリジナルが4Ω/8Ω/16Ωの切り替えに対応し、2555Xリイシューは5系統のスピーカー出力に変更されています。2555Xにはエフェクトループがあり、回路はJCM800系がベースです。

Silver JubileeはJCM800(2203)の回路をベースに、プリアンプにクリーン・リズム・リードの3モードを搭載した設計です。マスターボリュームがあるため、プレキシやJTM45のようにフルクランクしなくても小〜中音量でオーバードライブが得られるのが大きな利点です。低域が従来のMarshallよりタイトで、ハイミッドの presence が効きやすく、ブースターやオーバードライブペダルとの相性も良いと評されます。クリーンチャンネルは澄んだトーン、Rhythm Clipは適度なクランチ、Leadはよりゲインが高く80年代ハードロック寄りのトーンが得られます。

エピソード

1987年、Marshall社の創業25周年と、Jim Marshallが音楽業界に関わってから50年を迎えたことを記念して、Silver Jubileeシリーズが発表されました。シルバービニールとクロームメタルパネルという絢爛たる外観で、当時のJCM800よりゲインと低域の締まりを強化した設計となりました。型番の2555は25周年と50年を表します。

Slash(Guns N’ Roses)は、1987年以降のツアーでMarshall Silver Jubileeをメインアンプとして使用し、アンプの存在を広く知らしめました。ただし「Appetite for Destruction」のレコーディングは1986年8月に開始されたため、1987年発売のSilver Jubileeはスタジオ録音には使われていません。SlashはレンタルしたMarshallに強く惚れ込み、返却を拒んで「盗まれた」と主張したという逸話も残っています。1996年には、Slashが愛用した1987年製Silver Jubileeをベースに、Marshall JCM 2555SL Slash Signatureが限定3000台で発売されました。

Alex Lifeson(Rush)は、Marshallからカスタム製の「Lerxst Omega」を受け取り、Silver Jubileeとほぼ同一の回路を持つこのアンプを長年使用しました。Fractal AudioのBrit Silverモデルの参照機は当初このLerxst Omegaでしたが、現在はSilver Jubileeをベースにしたモデルに更新されています。

Joe Bonamassa、John Frusciante(Red Hot Chili Peppers)、Steve MorseらもSilver Jubileeを愛用していることが知られています。多様なジャンルで評価される万能性が、このアンプの魅力です。

共に使用される機材

共に使用されるキャビネット

  • Marshall 2551B / 2551BV:Celestion G12 Vintage(70W)を4発搭載した、Silver Jubileeと同時期に登場した純正4×12キャビネットです。G12 Vintageのモダンなキャラクターが、Jubileeのタイトな低域とハイミッドのpresenceと相性が良く、スタジオやライブで定番の組み合わせです。
  • Marshall 1960(1960A / 1960B / 1960BV等):Celestion G12T-75、G12M-25 Greenback、Vintage 30などを搭載した、Marshallの代表的な4×12キャビネットです。Greenback搭載ならよりヴィンテージ寄り、V30ならモダンでカットの効いたトーンになります。Jubileeと組み合わせる汎用的な選択肢として普及しています。

共に使用されるエフェクター

  • Ibanez Tube Screamer(TS808 / TS9):アンプの前段で信号を軽く歪ませて押し上げるブースターです。Jubileeはエフェクターへの反応が良いと評され、Tube Screamerでプリアンプを押し込むとゲインとミッドが厚くなり、Slash風のリードトーンに近づきます。ゲインは12時〜2時程度にすると、クリアリティを保つ使い方になるとされます。
  • Friedman BE-OD / Boss OD-1:オーバードライブ・ブースターとして使います。Jubileeのクリーンに軽いゲインを足し、よりハイゲイン寄りのクランチが得られます。フォーラムでは「boosted 2203/2204と同等の結果が得られる」との声もあります。

兄弟機・派生機

Marshall 2553

50Wヘッド(ミニスタック用小型シャーシ)です。2555より小規模会場やスタジオ向けです。

Marshall 2554

50W/25W切替可能な1×12コンボで、Celestion G12 Vintageを搭載しています。Jubileeのコンボ版にあたります。

Marshall JCM 2555SL Slash Signature(1996年)

Slash愛用の1987年製Silver Jubileeをベースにした、限定3000台のシグネチャーモデルです。SlashとJim Marshallのサイン入りです。

Marshall AFD100(2010年)

Slashの要望で「Appetite for Destruction」のトーンを再現するために開発されたモデルです。Jubileeとは異なる回路ですが、Slashトーンの追求という点で系譜を継ぎます。

Marshall 2555X Silver Jubilee Vintage Reissue(2015年)

2015年発売のリイシュー版です。100W/50W切替に対応し、現行仕様のスピーカー出力とエフェクトループを追加しています。オリジナルに忠実な回路で、新品入手が可能です。

モデリング

モデリングとは、実機アンプの音色や挙動をデジタル技術で忠実に再現したもので、本物のアンプを持ち歩かなくてもそのサウンドを手軽に使えるようにした機能です。Marshall Silver Jubileeは、主要なモデリング機器の多くに収録されている人気アンプのひとつです。

QUAD CORTEX における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpBrit 2555 CleanMarshall Silver Jubilee 2555
AmpBrit 2555 LeadMarshall Silver Jubilee 2555
AmpBrit 2555 RhyMarshall Silver Jubilee 2555
AmpBrit UBL LeadMarshall Silver Jubilee
AmpBrit UBL Lead ClipMarshall Silver Jubilee
Cabinet412 Brit Silver B 70w ’87Marshall 2551B with Celestion

Fractal Audio Systems における収録

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種別モデル名元となった実機
AmpBrit SilverMarshall Silver Jubilee
Cabinet4×12 LerxstMarshall 4×12(Lerxst Omega系)

4×12 Lerxstは、Lerxst OmegaやSilver Jubilee系のMarshall 4×12(Celestionスピーカー搭載)が元になっています。

Kemper における収録

Kemperはアンプをプロファイリング(実機をそのまま取り込む)する機器のため、ファクトリーリグではアンプとキャビネットが1つのリグにまとめて収録されています。キャビネット単独のエントリは存在しません。

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種別モデル名(RIG NAME)元となった実機
AmpMarshall Silver Jubilee RIMarshall Silver Jubilee
AmpMarshall Silver Jubilee 2553 1987Marshall Silver Jubilee 2553
AmpMarshall 2555Marshall Silver Jubilee 2555
AmpMarshall Silver JubileeMarshall Silver Jubilee

LINE6 HELIX における収録

LINE6 HELIXの現行ラインナップにはMarshall Silver Jubileeに対応するアンプモデルは収録されていません。Slash風のトーンを追求する場合は、Brit 2203(Marshall JCM-800 100W)にブースターやオーバードライブを組み合わせるといった代替アプローチを検討してください。

使用アーティスト

海外のアーティスト

  • Slash(Guns N’ Roses)/ハードロック・ブルースロック:キャッチーなリフと歌うようなリードトーンが特徴です。1987年以降のツアーでメインアンプとして使用しました。「Appetite for Destruction」のレコーディングには使用されていません(録音は1986年開始)。1996年には愛用機をベースにした2555SLシグネチャーモデルが発売されました。
  • Alex Lifeson(Rush)/プログレッシブロック:複雑な編曲と表現力豊かなギターが特徴です。Marshall製のLerxst Omega(Silver Jubileeとほぼ同一回路)を長年使用しました。Fractal AudioのBrit Silverモデルの参照機としても知られます。
  • Joe Bonamassa/ブルースロック:伝統的ブルースとモダンなアプローチの融合が特徴です。Silver Jubileeをレパートリーのひとつとして使用しています(Fractal Audio等の機材解説で言及)。
  • John Frusciante(Red Hot Chili Peppers)/オルタナティブロック:ファンクとロックの融合が特徴です。Silver Jubileeを愛用していることが機材サイト等で言及されています。

日本のアーティスト

Marshall Silver Jubileeは、国内のスタジオやロックシーンで認知度の高いアンプです。ただし、Marshall Silver Jubileeをメインアンプとして使用していることが信頼できる情報源で確認できる著名な邦楽アーティストについては、現時点で裏付けが取れていないため、ここでは記載を省略します。

よくある疑問

JCM800(2203)とは何が違いますか?

Silver JubileeはJCM800(2203/2204)系の回路をベースに、クリーン・リズム・リードの3モードを備えた設計です。従来のJCM800より低域がタイトで、ゲインが多めです。ただし「boosted 2203で同等の結果が得られる」という意見もあり、ブースターを前段に置けば近づけられるとの見方もあります。

オリジナルは高価ですが、リイシューで代用できますか?

2555X Vintage Reissueが代わりの選択肢になります。1987〜89年頃のオリジナルは限定生産で希少なためプレミア価格が付きやすい一方、2015年発売のリイシューは新品で入手でき、回路もオリジナルに忠実です。フォーラムでは「reissue is a worthy alternative」との評価もあります。

QUAD CORTEXなどのモデラーで代用できますか?

はい、代用できます。QUAD CORTEXには「Brit 2555 Clean」「Brit 2555 Lead」「Brit 2555 Rhy」などが収録されており、Fractal Audioの「Brit Silver」やKemperのリグにもSilver Jubilee系のモデルがあります。ただしLINE6 HELIXにはSilver Jubileeに対応するモデルがなく、Brit 2203にブースターを組み合わせる方法で補うことになります。

ユーザーの評価と注意点

評価されている点

  • マスターボリューム付きで使いやすい:プレキシやJTM45と異なり、小〜中音量でもオーバードライブが得られる設計です。寝室練習や小規模ライブでもアンプ本来のトーンを活かしやすく、フォーラムでは「apartment friendly」との評価もあります
  • エフェクターへの反応が良い:ブースターやオーバードライブペダルを前段に置くと、ゲインを12時〜2時程度にすると、クリアリティを保ったまま厚みを追加できます。Rig-TalkやMarshall Forumでは「pedal responsiveness」「accepts boosts well」と繰り返し言及されます
  • 低域がタイトでEQが効きやすい:従来のMarshallより低域が締まっており、Bass・Middle・Trebleの効きが良好です。ブルースからメタルまでブースターでゲインを足して対応できる万能性が人気です
  • クリーンチャンネルの評価が高い:JCM900やJCM2000よりクリーンが美しいとの声が多く、歪みだけでなくクリーンでの使用を好むプレイヤーにも支持されています

注意点

  • 限定生産のためオリジナルは高価:1987〜89年頃のオリジナルは希少でプレミア価格が付きやすくなっています。2555X Vintage Reissueであれば現行で新品入手が可能で、フォーラムでは「reissue is a worthy alternative」との評価もあります
  • ブースター無しでは1959やJCM800ほど攻撃的ではない場合がある:「boosted 2203で同等の結果が得られる」という意見があり、ハイゲインを求める場合は外部ブースターの使用が前提となることが多くなります

まとめ

Marshall Silver Jubilee(2555)は、JCM800を進化させた「マスターボリューム付きで使いやすいMarshall」として、1987年の限定記念モデルから長く愛されてきました。クリーン・リズム・リードの3モード、タイトな低域、エフェクターへの良好な反応が特徴で、Slashの1987年以降のツアー使用や、Alex LifesonのLerxst Omegaとの関係により、伝説的なアンプとして語られています。

「JCM800のサウンドが好きだが、小音量でも歪みが欲しい」「Slash風の80年代ロックトーンを追求したい」「クリーンからリードまで1台でこなせる万能型Marshallが欲しい」という方には特におすすめです。オリジナルは希少ですが、2555X Vintage Reissueが現行で入手可能です。QUAD CORTEX、Fractal Audio、KemperにはSilver Jubilee系のモデリングが収録されているため、まずはモデリングでその世界観を体験してみてください。マスターボリュームと3モードがもたらす使いやすさと、Slashの名と共に語られるトーンは、今なお多くのロックプレイヤーを魅了し続けています。

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この記事を書いた人

趣味はギター、カメラ、料理。
好きなものはメタルコア、ビール、CAPCOM、FROMSOFTWARE。

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